ロシア国内で、プーチン大統領の対米融和姿勢に対する批判が高まっている。ウクライナ占領地を含む鉱山開発でアメリカとの共同開発を提案したことが、いわゆる「愛国者」たちの怒りを買っているようだ。プーチン大統領への忠誠を誓うはずの強硬派からも「気がふれた」といった痛烈な批判が噴出し、足元が揺らぎ始めている。
鉱山開発めぐる共同提案で不協和音
事の発端は、ウクライナ占領地を含むロシアの鉱山開発をめぐり、プーチン大統領がアメリカとの共同開発を提案したことだ。この提案は、ロシア国内で波紋を広げ、特に「愛国者」と呼ばれる強硬派からの反発を招いている。
「愛国者」の象徴的存在からも異論
ドネツクのスパルタ大隊の元司令官で、プーチン大統領から「愛国者」の象徴と目されていたアルチョム・ジョガ氏でさえ、レアメタルをアメリカに引き渡すべきではないと地元の会議で発言。国益のために資源を守る必要性を訴えた。ジョガ氏は、ウクライナ侵攻で息子を失っていることもあり、その発言の重みは大きい。
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国営メディアや政権支持派からも批判の声
プーチン大統領への批判は、ジョガ氏にとどまらない。国営メディア「ラジオスプートニク」の司会者らは「いら立ちを覚える」と発言。さらに、これまでプーチン政権を強く支持してきたテレグラムのチャンネルでも「じいさんは気がふれた」といった痛烈な批判が飛び交っている。プーチン大統領への支持基盤からも批判の声が上がることは、政権にとって大きな痛手となるだろう。
サウジアラビアでの米ロ協議が火種に
NBCニュースによると、18日にサウジアラビアで行われた米ロ高官協議で、ロシア側はビジネスマンであるトランプ前大統領を意識し、ウクライナ東部のドンバスとザポリージャのレアメタルの所有権について議論したとされている。この協議内容が明らかになったことで、ロシア国内の「愛国者」たちの怒りに火をつけたようだ。
レアメタルの利権をめぐる駆け引き
ロシアにとって、レアメタルは重要な資源であり、その利権をアメリカに譲渡することに抵抗があるのは当然と言える。しかし、ウクライナ侵攻の長期化や西側諸国からの経済制裁の影響で、ロシア経済は疲弊している。プーチン大統領は、経済的な苦境を打開するために、アメリカとの関係改善を模索している可能性もある。
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プーチン大統領の対米融和姿勢は、ロシア国内の「愛国者」たちの反発を招き、政権基盤の弱体化につながる可能性がある。今後のプーチン大統領の動向に注目が集まる。