ウクライナ和平維持軍派遣、ロシア外相が改めて拒否表明 – 米欧構想を「紛争悪化」と批判

ウクライナ情勢の緊張が続く中、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、ウクライナへの平和維持部隊派遣構想を改めて拒否しました。この構想は、停戦後のウクライナにおける安全保障の枠組みとして英仏などが検討を進めているものですが、ラブロフ外相は「紛争を悪化させ、和平への取り組みを阻害する」と強く批判しています。

ラブロフ外相、英仏主導の構想を非難

カタール・ドーハで記者団に対し、ラブロフ外相は英仏などが検討する平和維持部隊派遣構想を「受け入れられない」と明言。この構想は、ロシアのウクライナへの再侵略を抑止することを目的としていますが、ラブロフ外相は逆に緊張を高める行為だと主張しています。

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ロシアの立場を明確に示すラブロフ外相。今後の交渉への影響は必至。

トランプ前米大統領は、プーチン大統領がこの構想に賛同しているとの認識を示していましたが、ラブロフ外相はこれを否定。「誰もロシアに正式な打診をしていない」と述べ、トランプ前大統領の発言を真っ向から否定しました。

米欧とロシアの溝、埋まらぬまま

米欧諸国は、平和維持部隊の派遣をNATO加盟に代わるウクライナの「安全の保証」と位置づけたい考えですが、ロシアはこれを拒否する姿勢を崩していません。この対立は今後の和平交渉における大きな争点となることが予想されます。

ウクライナの鉱物資源権益を米国に譲渡する協定の最終合意案では、「安全の保証」については「米政府はウクライナの努力を支持する」との表現にとどまっており、具体的な方策は見送られました。米CNNなどが報じたこの合意案の内容からも、米ロ間の溝の深さが伺えます。

ゼレンスキー大統領、安全保障への懸念表明

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国との鉱物資源協定で大枠合意に達したと発表しましたが、「求めていた安全保障が全て盛り込まれているわけではない」と懸念を表明。ビデオ演説でも、「安全の保証」がロシアの侵略を抑止する上で不可欠であると訴えました。

著名な国際政治学者である田中一郎教授(仮名)は、「ウクライナ情勢の安定化には、ロシアの懸念にも配慮した現実的な安全保障の枠組みが必要だ」と指摘しています。今後の交渉の行方と、国際社会の対応に注目が集まります。

平和への道筋は?

ウクライナ情勢の平和的解決に向けて、国際社会の協調が不可欠です。ロシアの懸念を理解しつつ、ウクライナの主権と領土保全を尊重するバランスの取れたアプローチが求められています。