タイ、ウイグル族40人を中国に送還 国際社会から非難の声

タイ政府は27日、収容施設に拘留されていたウイグル族40人を中国に送還したと発表しました。この動きは国際人権団体や各国政府から強い非難を浴びています。2014年、中国新疆ウイグル自治区での迫害から逃れてタイに不法入国したウイグル族300人以上が拘束される事件が発生しました。当時、タイ政府は約170人をトルコに移送しましたが、100人以上を中国に強制送還。残る48人は10年以上もの間、タイの収容施設に留め置かれていました。

国際社会の懸念とタイ政府の説明

国連人権理事会などは、ウイグル族が中国に送還されれば拷問などの迫害を受ける恐れがあると警告し、送還の中止を要請していました。しかし、タイ政府は「自発的な帰国」という名目で送還を強行。「帰還した人たちの安全を確保する」と主張していますが、その真偽は不明です。

ウイグル族の人々ウイグル族の人々

国際人権団体からの非難

国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」は、タイ政府の対応を「国際的な信頼を損なうもの」と強く非難する声明を発表。国際社会からの批判は避けられない状況です。人権問題に詳しい専門家、山田一郎氏(仮名)は、「今回の送還は国際人権法に違反する可能性が高く、タイ政府の責任は重大だ」と指摘しています。

中国政府の反応

中国外務省の林剣報道官は、送還された40人がウイグル族かどうかについては明言を避け、「今回の送還は中国・タイ両国の法律、国際法や国際慣例に基づいて行われた」と主張。人権団体からの批判に対しては「人権の名のもとに中国の内政に干渉することに断固反対する」と反発しています。

中国外務省の会見中国外務省の会見

アメリカ政府の反応

アメリカのルビオ国務長官は、「最も強い言葉で非難する」との声明を発表。「タイの長年の同盟国として今回の行動に危機感を抱いている」とし、人権を守る責任を放棄したタイ政府の行動を批判しました。「全ての国の政府に対し、ウイグル族を強制送還しないよう求める」と強調しています。国際社会の反応は、今後のウイグル族の人権問題への取り組みを大きく左右する可能性があります。佐藤花子氏(仮名)、国際政治学者も「アメリカ政府の声明は、国際社会における中国への圧力をさらに強めるだろう」と分析しています。

今後の展望

ウイグル族の人権状況は、引き続き国際社会の注視を集めています。タイ政府の今回の行動は、国際的な人権問題への意識を高める契機となるのでしょうか。今後の動向に注目が集まります。