韓国原発輸出の光と影:チェコでの成功と韓電・韓水原の対立

韓国経済は低迷が続く中、原発輸出「K-原発」が新たな成長の柱として期待を集めています。特に、チェコでの新規原発建設事業における優先交渉権獲得は、米ウェスチングハウスやフランス電力公社といった世界的な競合を抑えての快挙であり、韓国の底力を見せつけるものでした。本契約締結も間近に迫り、明るい兆しが見えてきています。

チェコ原発事業の成功と「チームコリア」の貢献

チェコでの事業規模は、総額24兆ウォン(約2兆7000億円)にも上ります。この成功の立役者は、韓国水力原子力(韓水原)を筆頭とする「チームコリア」です。韓国電力技術、韓国原子力燃料、韓電KPS、斗山エナビリティ、大宇建設といった企業が一体となり、現地での文化交流や事業投資など精力的な活動を展開し、受注獲得に貢献しました。

チェコの原発建設現場チェコの原発建設現場

韓電と韓水原の対立:1兆4000億ウォンの火種

しかし、この「チームコリア」に亀裂が生じています。韓電と韓水原が、UAEバラカ原発の追加工事費1兆4000億ウォン(約1600億円)の負担をめぐり対立しているのです。韓水原は韓電に全額負担を求める一方、韓電はUAE側との協議に基づき「チームコリア」全体で負担すべきだと主張し、両社の主張は平行線を辿っています。

対立の背景:原発輸出の主導権争い

両社長による会談も不調に終わり、最終的には国際仲裁に委ねられる見通しです。この対立の根底には、原発輸出の主導権争いがあるとされています。韓水原は韓電の子会社ですが、原発建設・運営の実務を担っていることから、主導権を巡る確執が以前から燻っていました。

韓電と韓水原の社長韓電と韓水原の社長

専門家からの意見:ガバナンス改革の必要性

エネルギー政策専門家であるパク・ヨンシク氏(仮名)は、「今回の対立は、韓国の原発輸出体制の脆弱性を露呈したと言えるでしょう。輸出専門機関の新設など、ガバナンス改革が急務です」と指摘しています。

主管官庁の責任:傍観者的態度の批判

この問題に対して、主管官庁である産業通商資源省の対応も批判されています。仲裁役を担うはずが、国際仲裁に発展する事態を招いた責任は免れないでしょう。

韓国経済の危機と「チームコリア」の真価

韓国は現在、経済低迷に加え、国際的な通商摩擦など、多くの課題に直面しています。かつての通貨危機を国民の団結力で乗り越えたように、今こそ「チームコリア」の真価が問われています。原発輸出という新たな希望を確かなものとするためにも、韓電と韓水原の対立解消、そして政府の積極的な関与が不可欠です。