ウクライナ紛争勃発から4年目。米国のトランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は、激しい応酬の末、共同記者会見が中止となる異例の事態となりました。この結果に、ウクライナ国民はどのような思いを抱いているのでしょうか。キーウの街の声から、その複雑な胸中を探ります。
若者たちの冷めた視線
キーウの美術学校に通うアルテム・ブリジャノフさん(20)は、トランプ氏の「第三次世界大戦に賭けるのか」「もっと感謝しなければならない」といったゼレンスキー氏への罵倒を冷ややかに見ていました。「トランプ氏は、ロシアよりウクライナに圧力をかける方が容易だと考えているのでしょう。しかし、ゼレンスキー氏は屈しませんでした。だからトランプ氏は怒ったのだと思います。」とブリジャノフさんは分析します。
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キーウで美容師として働くオリハさん(42)も、トランプ氏の言動に憤りを隠せません。「トランプ氏は老衰しているのではないでしょうか。ゼレンスキー氏への批判と挑発は、まるでプーチン大統領のようです。『超大国であるアメリカの言うことを聞け』という態度は、もはや時代遅れです。」と彼女は語ります。
前線からの怒りの声
東部ハリコフ方面で戦う兵士(31)は、米国との関係悪化を深刻に受け止めています。「ブダペスト覚書で米国はウクライナを守ると約束しましたが、米兵は一人も前線に来ていません。武器を売りつけ、高額な請求書を送ってくるだけです。明日、誰かが星条旗を燃やしても驚きません。」と、怒りをあらわにしました。
停戦を願う人々の落胆
東部ドネツク州に住む男性(38)は、会談の決裂に落胆しています。「兵士もその家族も、前線付近の住民も、皆疲れ果てています。停戦を望む人々にとっては、残念な結果です。ゼレンスキー氏が戦争継続を求めていることが明らかになり、この戦争の無意味さを改めて理解した人もいるでしょう。」と彼は静かに語りました。
オデッサでネイリストとして働くナージャ・リエンさん(36)は、あきらめたようにこう言います。「まるでサーカスを見ているようでした。誰かが本当の交渉を始めるまで、この茶番劇は続くのでしょうか。」
専門家の見解
ウクライナの政治評論家、ウォロディミル・フェセンコ氏は、この会談を「感情が理性に勝ってしまった大惨事」と表現し、「ウクライナと米国双方にとって打撃だが、ウクライナにとってはより大きなリスクとなる」と指摘します。今後の和平交渉についても、「トランプ氏主導の交渉は失敗する可能性が非常に高くなった」と分析しています。
ウクライナの未来は?
今回の会談決裂は、ウクライナ国民に複雑な感情を残しました。今後の和平交渉の行方、そしてウクライナの未来は、依然として不透明なままです。