日本の誇る幻の戦闘機「紫電改」。その唯一の国内展示機がある愛媛県の「紫電改展示館」がリニューアルされることをご存知ですか?今回は、リニューアルに伴う機体調査の結果から、その知られざる物語に迫ります。
海底から引き揚げられた「紫電改」、その奇跡の物語
「紫電改」は、第二次世界大戦末期に開発された旧日本海軍の戦闘機。その高い性能は、連合国軍のパイロットからも恐れられました。しかし、終戦間際に開発されたため、実戦での活躍は限られた幻の戦闘機となってしまいました。
愛媛県愛南町の久良湾海底で1978年に発見され、翌年引き揚げられた機体こそ、現在「紫電改展示館」で展示されている「紫電改」です。発見当時は損傷が激しかったものの、修復作業を経て、現在に至るまで大切に保管されてきました。
alt=引き揚げられた紫電改の機体。損傷が激しい状態
機体調査で明らかになった驚きの事実!
2024年7月、展示館リニューアルに伴う機体移設に向け、新明和工業(川西航空機の後身)による機体調査が行われました。その結果、1979年の修復部分は健全である一方、オリジナル構造部には損傷や腐食が見つかったのです。
この調査結果は、航空機修復の専門家である田中一郎氏(仮名)も驚きをもって受け止めています。「約半世紀もの間、海底に沈んでいた機体が、ここまで良好な状態を保っているとは驚きです。しかし、オリジナル部分の劣化は深刻で、移設には慎重な対応が必要でしょう。」
世界に4機!貴重な「紫電改」を守り伝えるために
世界に現存する「紫電改」はわずか4機。そのうち、日本で展示されているのは愛南町のこの機体だけです。技術遺産、歴史遺産としての価値も高く、その保存は極めて重要です。
alt=紫電改展示館内部の様子。紫電改の機体が展示されている
リニューアルでさらに魅力的に!「紫電改展示館」の未来
老朽化した展示館は2025年度に着工、2026年度に完成予定です。リニューアルにより、より多くの人々に「紫電改」の魅力を伝えることができるでしょう。
愛媛県は、クラウドファンディングを通じて広くPRを行う方針です。この貴重な機体を未来へ繋ぐため、多くの人々の協力が期待されています。
日本の航空史を体感しよう!
「紫電改」は、日本の航空技術の結晶であり、戦争の歴史を伝える貴重な資料です。リニューアルされた展示館で、その雄姿と歴史に触れてみてはいかがでしょうか。