経済アナリスト森永卓郎氏が膵臓がんとの闘病の末、2024年1月28日に逝去されました。生前、ステージⅣの膵臓がんを公表し、最後まで病と闘い続けた森永氏の治療法の選択について、専門家の間で様々な意見が出ています。この記事では、森永氏が選択したオプジーボと血液免疫療法の併用療法について、専門家の見解を交えながら解説し、代替医療の課題についても考えていきます。
オプジーボと血液免疫療法:エビデンスに基づいた治療の重要性
森永氏は、オプジーボと血液免疫療法(NK療法)を組み合わせた治療を受けていました。しかし、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之氏(仮名)は、この治療法の有効性について疑問を呈しています。「オプジーボと免疫療法を併用した治療に効果があるという科学的根拠は乏しい」と勝俣氏は指摘し、標準治療の継続を推奨すべきだった可能性を示唆しています。
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また、森永氏が使用していた抗がん剤の副作用についても、勝俣氏は「適切な投薬管理によって副作用を軽減できた可能性がある」と述べています。がん治療においては、エビデンスに基づいた治療法を選択することが重要であり、個々の患者の状態に合わせた適切な投薬管理が不可欠です。
免疫療法の落とし穴:偽りの希望とリスク
医師の大脇幸志郎氏(仮名)も、自由診療で行われる免疫療法には否定的です。大脇氏は、「免疫療法と称する怪しい治療を提供するクリニックは多く存在し、中には寿命を縮める可能性のあるものもある」と警鐘を鳴らしています。特に、オプジーボと免疫療法の併用は重篤な副作用や死亡例も報告されており、医薬品医療機器総合機構(PMDA)も注意喚起を行っています。
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自由診療の免疫療法は、高額な費用がかかるにもかかわらず、効果が保証されていないという問題点があります。「藁にもすがる思いの患者に偽りの希望を与え、諦め時を奪っている」と大脇氏は批判しています。がん治療においては、科学的根拠に基づいた治療法を選択し、効果とリスクを十分に理解することが重要です。
代替医療を考える:情報収集と医師との相談
代替医療の中には、効果が科学的に証明されていないものや、健康被害のリスクを伴うものも存在します。代替医療を選択する際には、信頼できる情報源から情報収集を行い、主治医と十分に相談することが重要です。
森永氏の闘病は、がん治療の難しさや代替医療の課題を改めて浮き彫りにしました。患者自身も、エビデンスに基づいた情報収集を行い、医師と相談しながら最善の治療法を選択していくことが大切です。