12月1日夜、千葉県浦安市にある東京ディズニーシーの敷地内ホテル「ホテルミラコスタ」の宴会場に、刃物のようなものを持った男が侵入する衝撃的な事件が発生しました。この事件を受け、千葉県警は翌2日、中国籍の姜春雨容疑者（34）を暴力行為等処罰法違反の疑いで逮捕しました。夢のような場所で起きたこの事件は、多くの人々に驚きと不安を与えています。
ホテルミラコスタで発生した事件現場を報じるニュース記事のイメージ
忘年会会場での緊迫した状況と容疑者の主張
事件は1日午後8時頃、ホテルミラコスタの宴会場で行われていた会社の忘年会中に起きました。姜容疑者はこの会社の元従業員であり、忘年会に参加していた元同僚に対し、包丁のようなものを向けた疑いが持たれています。社会部記者によると、事件はプレゼント抽選会の最中に発生し、姜容疑者は中国語で怒号を上げながら会場に侵入。「それ以上近づいたらぶっ殺すぞ」と脅迫した疑いも報じられています。
姜容疑者は取り調べに対し、一部容疑を否認しており、「宴会場に入って抗議文を配っていたら無理やり止められた。だから、バッグの中から持参した中華包丁を取り出しただけ」「人に向けたり脅迫はしていない」と供述しているとのことです。容疑者は約5分間刃物をちらつかせた後、その場を立ち去り、JR舞浜駅から電車に乗って逃走しました。
当時、ミラコスタ内の別の宴会場を利用していたという50代の男性は、「8時半ごろに警察官が来て、宴会場の外が慌ただしくなり、何か騒ぎがあったと理解した。他の客は、包丁を持った男がロビーへ走って行くところを見たらしい。物騒なことが最近多いから、通り魔だったら嫌だなと怖かった。ここのホテルで警察沙汰が起こるとは思わなかった」と、当時の混乱と恐怖を振り返っています。
ホテルミラコスタのセキュリティ体制と運営会社の対応
事件の舞台となった宴会場は広さ220平米以上で、最大200人以上を収容できる中規模の会場です。ホテルミラコスタは東京ディズニーシーに隣接しており、実際には誰でも出入りできる構造になっています。入園時のように荷物検査が行われることはありません。
かつてディズニーランドやシーの年間パスポートを保有し、ミラコスタを何度も利用したことがあるという30代のディズニーファン男性は、「時間帯によるけれど、ミラコ（ミラコスタ）は宿泊予約していない人もレストランを利用できちゃう。夜遅くの場合などは宿泊確認を取ってからホテルエントランスに通すけど、レストラン利用の人もいるから宿泊確認を取らない時間帯があって、それだったら誰でも入れる」と証言しています。館内のトイレなども、宿泊者以外が普通に利用するケースが見られるとのことです。
ミラコスタの関係者によると、宴会場はロビー受付のある2階にあり、誰でも入れるようになっています。メインロビーも1階ではなく2階に位置し、宿泊客以外にディズニーシーの利用客が休憩のために利用することもあるといいます。宴会場フロアへ行く際も、特段の予約確認などは行われません。また、宴会場の受付パネルには、その日利用する団体名と部屋が表示されており、会場の特定は容易であると指摘されています。
オリエンタルランドの子会社でミラコスタを運営する「ミリアルリゾートホテルズ」の広報担当者は、セキュリティ対策について「出入りが自由なため、不審な行動をするお客様がいましたら、スタッフからお声がけをさせていただき、利用目的などを聞くようにしています」と回答。今回の事件を受けては、「より安心安全な環境を届けることで、お客様の信頼を勝ち取ってまいります」と述べるに留め、今後施設の警備などを強化するかどうかについては回答を控える姿勢を示しました。
事件後の安堵と警備強化を求める声
姜容疑者が逮捕されたことで、事件発生から一夜明けた2日には、ミラコスタを利用する多くの人々から安堵の声が広がりました。しかし、同時に宿泊者からは、このような場所での安全確保のため、警備面のさらなる強化を求める声が多数寄せられています。
この事件は、夢の国として知られるディズニーリゾートの安全神話に一石を投じる形となりました。来園者や利用者の安心を確保するためには、今後、ホテル運営会社による一層のセキュリティ対策の見直しと強化が求められるでしょう。
参考文献
- 集英社オンライン
