お金と健康という2つの大きな不安を解消する方法について、長野県を平均寿命と健康寿命日本一にし、医療費の安い県に導いた医師の鎌田實さんと、生活実感あふれるアドバイスで人気の経済ジャーナリスト・荻原博子さんが対談。
本記事では2人の対談をまとめた書籍『お金が貯まる健康習慣』より一部を抜粋・再編集し、「老後の幸せな暮らし」について考えます。
【画像】「物価高で生活が苦しい」「年金だけではやっていけない」…。長生きしたいのに、将来のお金の不安を抱えるシニア世代に伝えたいこと。
■「ソロ立ち」が高齢期の幸せの条件
鎌田:ぼくはね、高齢期を幸せに生きるかどうかは、「自己決定」が一番重要な気がしているんです。自分が働いて稼いできたお金をどう使うか、延命治療を受けるか受けないか、最期はどこでどんなふうに死にたいのか、そんな自己決定力は高齢者ほど必要になってくると思います。
荻原:同感です。私ね、70歳になってつくづく思うんです。人生の価値は、自分で決めて自分でやってきたことでつくられているんだなって。誰かに指示されたことをやり続けてきた人は、「自分で決める」「自分で選びとる」という力が弱いなあって感じることがあります。
鎌田:人の顔色をうかがってきた人は、とくにそうだよね。
荻原:私の周囲を見ると、定年退職したあとに無気力になってしまう男性がけっこう多いんですよ。「夫が家でずっとゲームばかりしている」「やたらと私の後ろをついて歩くようになって面倒くさい」っていう妻の声、けっこう聞きます。
鎌田:それを聞いて思い出した。女性はだんなさんが亡くなると長生きするけど、男性は奥さんが亡くなると長生きできないっていうデータがあるんです。
荻原:知り合いの保険会社の人も言っていました。妻を亡くした夫は、そのときは割と冷静なんですって。でも、半年くらいするとろうそくの火が消えるみたいに、ふ〜っと亡くなるケースが少なくないそうです。
一方で、夫を亡くした奥さんは「どうして私を置いて逝(い)ってしまったの!」って棺(ひつぎ)にすがって泣いたりするんですけど、半年後にはすっかり元気。ご主人の生命保険も入るから、「ここからが、わが世の春!」みたいになる人もいるそうです(笑)。