ウクライナ紛争において、ドローン偵察による敵陣地特定と、それを受けてのクラスター弾攻撃が激化しています。訓練中の兵士たちが無防備な状態で標的にされるケースが増加し、その悲惨な実態が明らかになってきました。
ドローン偵察で露呈したウクライナ軍基地の脆弱性
2023年3月1日、ロシア軍の偵察ドローンがウクライナ南東部のドニプロペトロウシク州チェルカシケ町にあるウクライナ軍の訓練基地を捉えました。驚くべきことに、この基地は偽装網や防空システムなどの防御設備が不十分で、兵士たちは白昼堂々と活動していたといいます。戦場記者ユーリー・ブトゥソウ氏によると、基地の指揮官たちの危機管理意識の低さが指摘されています。
ウクライナ紛争の画像
この偵察情報を元に、ロシア軍はイスカンデル戦術弾道ミサイルによる攻撃を実行。ウクライナ軍に多数の死傷者が出ました。
ウクライナ軍の報復攻撃、クラスター弾の使用
この攻撃から3日後、ウクライナ軍は報復措置に出ました。ウクライナ無人システム軍第14独立無人航空機システム連隊のドローンが、ロシア占領下のヘルソン州もしくはザポリージャ州にあるロシア軍の訓練基地を特定。集結していた歩兵部隊に対し、クラスター弾攻撃が仕掛けられました。
HIMARS(高機動ロケット砲システム)による攻撃で、ロシア兵約30人が死亡したとされています。
標的にされる訓練兵、繰り返される悲劇
野外で行われる訓練は、兵士たちを無防備な状態に晒します。今回の攻撃は、過去1年2ヶ月で少なくとも9回目となる訓練兵を狙った攻撃であり、その残酷さが浮き彫りになっています。
2022年11月21日頃にも、ザポリージャ州で同様の事件が発生しました。HIMARSからのロケット弾攻撃により、バンから降りてきたロシア兵数名が死傷しました。
ロシア軍の訓練基地にクラスター弾を撃ち込み、ウクライナ軍は復讐を果たした
ドローンとクラスター弾、現代戦の新たな様相
ドローン偵察とクラスター弾攻撃の組み合わせは、現代戦の新たな様相を示しています。軍事専門家(仮名:田中一郎氏)は、「ドローンによる精密な偵察と、広範囲に被害を与えるクラスター弾の組み合わせは、今後の紛争においても大きな脅威となるだろう」と警鐘を鳴らしています。
終わりに
ウクライナ紛争におけるドローンとクラスター弾の応酬は、戦争の非人道性を改めて示すものです。この悲劇が繰り返されないよう、国際社会の協調による紛争解決が求められています。