自民党総裁選前倒しの可能性:田村憲久元厚労相が指摘する石破首相への不満と少数与党の課題

自民党の田村憲久元厚労相は10日、フジテレビ系番組に出演し、党両院議員総会での総裁選前倒し手続き検討について言及しました。参院選敗北の責任に触れ、総会の意見の重みを強調し、党内の複雑な現状を提示しています。

参院選敗北の責任と総裁選前倒しの動き

自民党の田村憲久元厚労相は10日、フジテレビ系番組に出演し、先の党両院議員総会で検討が始まった総裁選前倒しの是非について言及。「参院選で敗れた責任もある。総会の意見は非常に大きい」と述べました。自民党党則第6条第4項には、総裁の任期満了前に党所属国会議員と都道府県支部連合会代表の過半数が要求した場合、総裁選挙を行うと規定されています。田村氏はこの党則に基づき、過半数の要求があれば総裁選前倒しは「避けられない」との見解を示しています。

自民党の田村憲久元厚労相がテレビ番組に出演し、総裁選前倒しに関する見解を述べている様子自民党の田村憲久元厚労相がテレビ番組に出演し、総裁選前倒しに関する見解を述べている様子

少数与党としての国会運営の課題

石破首相が辞任すべきかとの問いに対し、田村氏は選挙責任と同時に、「我々は与党ですから国会運営をどうしていくかを考えないといけない」と強調しました。現在の自民党は衆参両院で過半数を得ていない少数与党の状況にあります。田村氏は、法案や予算の成立には他党との三党協議が不可欠であり、「時間がたいへんかかる。そうででないと法案が通っていかないし、予算も通らない」と、厳しい国会運営の実情を具体的に説明しました。

石破首相への不満と党内情勢

田村氏はさらに、石破首相が参院選直後に連立政権の構築など、安定した国会運営に向けた具体的な青写真を示していれば、両院議員総会の議論は異なる形になっていた可能性を指摘しました。自身も含め200人超の議員が出席した総会は、前回の4時間半に対し2時間以内で終了し、発言者も30人強にとどまりました。発言内容はおおむね3分の2が総裁選や辞任を求める声、3分の1が続投を望む内容で、「かなり、現体制に対する不満が多かった」と田村氏は証言しました。なお、田村氏はかつて石破首相が率いた「水月会(石破派)」に所属していました。

田村氏の発言から、参院選敗北を機に自民党内で石破首相への強い不満が顕在化し、総裁選前倒しの議論が避けられない状況が明らかになりました。少数与党としての国会運営の厳しさも相まって、今後の政局の行方が注目されます。

参考資料

Yahoo!ニュース