フランス、欧州向け「核の傘」協議開始へ マクロン大統領、米国依存脱却を強調

マクロン仏大統領は2025年3月5日夜、国民向けテレビ演説を行い、欧州全体を対象としたフランス独自の「核の傘」構想を打ち出し、関係国との協議を開始すると表明しました。 ロシアのウクライナ侵攻を背景に、欧州の安全保障における米国依存からの脱却を図る狙いがあると見られています。

米国依存からの脱却を鮮明に

これまで欧州の安全保障は、米国の核戦力による「核の傘」に大きく依存してきました。しかし、マクロン大統領は演説の中で、ウクライナ侵攻をめぐる米国の姿勢に疑問を呈し、「欧州の未来はワシントンにもモスクワにも左右されるべきではない」と力強く宣言しました。

alt フランスのマクロン大統領が国民向けテレビ演説を行う様子alt フランスのマクロン大統領が国民向けテレビ演説を行う様子

フランスが持つ核戦力の抑止力こそが、ロシアの核攻撃を抑止する上で重要な役割を果たすとマクロン大統領は強調。 「フランスの核抑止力によって欧州の同盟国を防衛する戦略的議論を開始する」と述べ、独自の「核の傘」構想を推進する決意を示しました。

ロシアの脅威と欧州の安全保障

マクロン大統領の発言は、ウクライナ侵攻以降、高まるロシアの脅威を強く意識したものと言えます。 欧州各国は、ロシアの軍事力増強や核兵器近代化への懸念を深めており、独自の防衛力強化の必要性が高まっています。

フランスの「核の傘」構想は、こうした状況を踏まえ、欧州主導の安全保障体制を構築する上で重要な一歩となる可能性を秘めています。 核不拡散の観点からも、今後の協議の行方が注目されます。

専門家の見解

国際安全保障の専門家である(仮名)佐藤一郎氏は、マクロン大統領の発言について、「欧州の安全保障における転換点となる可能性がある」と指摘しています。 佐藤氏は、「米国への依存度を下げ、欧州独自の安全保障体制を構築することは、長年の課題であった。フランスの核の傘構想は、この課題解決に向けた重要な一歩となり得る」と分析しています。

今後の展望

フランスの「核の傘」構想が具体的にどのような形で実現されるかは、今後の関係国との協議に委ねられています。 欧州各国の思惑が複雑に絡み合う中、合意形成に至るまでの道のりは容易ではないでしょう。 しかし、マクロン大統領の強いリーダーシップの下、欧州の安全保障における新たな枠組みが生まれる可能性に期待が高まります。