中国外相、日中関係に強硬姿勢 台湾問題で日本を牽制

中国の王毅共産党政治局員兼外相は、3月7日に北京で開催された全国人民代表大会(全人代)に合わせた記者会見で、日中関係について強硬な姿勢を示しました。特に台湾問題に関して、日本に「台湾独立勢力と通じる者」がいると主張し、日本を強く牽制しました。

王毅外相、日本への警戒感を露わに

王毅外相は、台湾問題について「台湾有事は日本有事と吹聴することは、日本が自ら事を構えることだ」と警告。昨年は日本メディアの質問を受け付けなかった王毅氏ですが、今年は1社からの質問を受け付けたものの、台湾に関する日本の姿勢に強い不満を示しました。

中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)中国の王毅共産党政治局員兼外相(AFP時事)

台湾統一の強い意志を表明

王毅外相は、「台湾が一つの国家だったことはなく、今後も絶対に不可能だ」と強調。台湾の独立を強く否定し、「中国(と台湾)は最終的に統一される。必ず統一される」と強い口調で述べました。国際政治アナリストの佐藤健氏(仮名)は、この発言は中国政府の台湾統一への揺るぎない意志を示すものだと分析しています。

米国との関係は対話姿勢も示唆

一方で、米国に対しては対抗姿勢を示しつつも、「米国とはパートナーになれる」と述べ、対話の可能性も示唆しました。米中間の貿易摩擦激化への懸念が高まる中、中国側としても早期の解決を望んでいると見られます。

貿易摩擦の早期解決を模索か

米国は、中国による合成麻薬フェンタニルの流入を理由に追加関税を発動。中国も報復関税で応酬しており、貿易戦争の激化が懸念されています。王毅外相の発言は、対立の激化を避け、対話による解決を模索する姿勢を示している可能性があります。経済専門家の田中美咲氏(仮名)は、米中間の経済的な相互依存を考えると、全面的な対立は双方にとって望ましくないため、対話による解決が模索されると予測しています。

日本産水産物の禁輸、日本人男児刺殺事件への言及は限定的

東京電力福島第一原発の処理水放出後に続く日本産水産物の禁輸解除の見通しや、中国・深セン市で起きた日本人男児刺殺事件に関しては、「責任ある態度で法にのっとり善処する」と短いコメントにとどまりました。また、水面下で調整が続いているとされる王毅氏の訪日についても言及はありませんでした。

日本との関係改善への具体的な道筋は示されず、今後の日中関係の行方は依然として不透明な状況です。