『国宝』と比較される『宝島』だが…ストーリーは難解、それでも沖縄県民の私の心が震えた訳「空前規模の“あのシーン”解像度の高さ」に驚き


【画像を見る】筆者が撮影した現在のコザに米軍基地の様子

■ストーリーは難解。それでも感じた細部に宿る“本気”

 ただ、わかったことは、制作側の沖縄に対する知識の深さだった。もちろん、絶妙な方言の用法やイントネーションの不自然さはしょうがないものの、それ以外の部分の解像度が非常に高いのだ。

 大げさかもしれないが、この“本気度と愛情”は、観客の側にも感じている。映画自体の理解は、沖縄の人間にとっても難しいのに、沖縄の歴史や言葉についての予備知識がない本土の人はもっと難しかったはずだ。それでも一生懸命理解しようとしながら190分間も向き合ってくれていることに、思いを馳せてしまう。

 忘れずに言及したいのだが、本土から切り離されたのは、沖縄だけではない。小笠原諸島と奄美群島も同様だったが、統治の規模や長さ、米軍との接点の点で特筆されるのが沖縄だった。

 今となっては信じられない人もいるかもしれないが(そして当時私は生まれてもいないが)、1945年-1972年の沖縄は「ドルを使い、本土に行くのにパスポートが必要」だった。問題の本質はそんな表面的なことではなく、なにしろ「本土から切り離される形で、日本の憲法もアメリカの憲法も何も適用されていなかった」のだ。



Source link