永瀬拓矢王将、藤井聡太竜王相手に苦戦!第74期王将戦第5局1日目は緊迫の展開

将棋界の最高峰、王将戦七番勝負の第5局1日目が埼玉県深谷市で行われました。挑戦者の永瀬拓矢王将は、タイトル防衛に後がない状況で、藤井聡太竜王の巧妙な戦略に苦戦を強いられました。本記事では、この白熱した対局の模様を詳しく解説します。

藤井竜王の奇策、雁木に永瀬王将は対応に苦慮

対局開始早々、藤井竜王は雁木を採用。この予想外の戦法に、永瀬王将は対応に時間を要し、持ち時間を大きく消費することになりました。通常「ノータイム指し」を得意とする永瀬王将ですが、この日の午前中は想定外の展開に翻弄され、昼食休憩時には藤井竜王との持ち時間差は1時間12分にも及んでいました。将棋界の重鎮、藤井猛九段も「後手の雁木で意表を突かれたのでしょう」と永瀬王将の心境を分析しています。

永瀬拓矢王将が盤面を見つめる様子永瀬拓矢王将が盤面を見つめる様子

持久戦から攻めの展開へ、緊迫の中盤戦

中盤に入り、両者の角がぶつかり合う展開となりました。一見持久戦模様に見えましたが、永瀬王将の陣形は「発展性がない」(藤井猛九段談)ため、攻めに転じる必要がありました。41手目▲7七桂はこの意思表示であり、局面は一気に緊迫感を増しました。

封じ手直前の攻防、心理戦の駆け引き

指し掛け直前、封じ手が濃厚な時間帯に永瀬王将は▲6八金寄と指し、後手に主導権を渡しました。この一手には、どのような意図が隠されているのでしょうか?両者の心理戦の駆け引きが続きます。

無人の対局室での長考、盤上に広がる重圧

対局中、藤井竜王の離席中に永瀬王将が見せた38手目△7三桂への対応も注目を集めました。記録係も不在の中、永瀬王将は無人の記録机側に立ち、盤面を凝視。28分もの長考の末、▲5八金右と指しました。この一手は、一歩間違えれば修復不能な終盤戦へと繋がる重要な一手でした。何気ない陣形整備にも時間を費やす、その姿からは盤上に広がる重圧が感じられました。

対局の様子対局の様子

名人戦挑戦権獲得、深まる因縁の対決

永瀬王将は、王将戦第4局で1勝を返した後、名人戦挑戦権をプレーオフの末に獲得しました。つまり、王将戦の結果に関わらず、来月からは藤井名人との七番勝負が継続されることが決定しています。両者の因縁の対決はさらに深まりを見せています。

深谷の夜、降り出した小雨は春の雪へと変わりつつありました。果たして、第2日目にはどのようなドラマが待ち受けているのでしょうか?今後の展開から目が離せません。