中国全人代で台湾統一への強い意志表明:民間交流強化で「一つの家族」をアピール

中国の全国人民代表大会(全人代)で、台湾に関する会議が開催され、台湾統一に向けた中国側の強い意志が改めて示されました。民間交流の活発化を通じて「祖国統一」を推進する方針が強調され、台湾との融和姿勢を演出する一方で、独立への牽制も鮮明になっています。

全人代「台湾省代表団」会議で統一推進を訴え

3月9日、北京の人民大会堂で「台湾省代表団」の会議が開かれました。この代表団は、台湾にルーツを持つ中国の政府系機関や民間団体の幹部らで構成されています。中国政府は台湾を「不可分の領土」と主張し、本土の省と同じ行政単位「台湾省」を設置。毎年全人代で代表団の会議を開催しています。

今回の会議では、習近平国家主席が掲げる「祖国統一」を推進するべきだとの発言が相次ぎました。「台湾の独立勢力は、台湾統一という歴史的な流れを阻止することはできない」と、顔珂副団長は力強く訴えました。

全人代台湾省代表団の会議の様子全人代台湾省代表団の会議の様子

他の委員からも「中台の同胞は一つの家族であり、誰も血縁関係を断ち切ることはできない」といった発言や、「人的交流の正常化や各分野の交流を継続的に行うことで、『祖国統一』を前進させるべきだ」といった意見が出されました。 台湾との血縁関係を強調することで、統一の正当性をアピールする狙いがあるとみられます。

李強首相も「台湾独立に反対」を明言

3月5日に行われた政府活動報告で、李強首相は「台湾独立の活動と外部勢力による干渉に断固反対する」と明言。「『祖国統一』の大業を揺るぐことなく推進し、民族復興の偉業をともに成し遂げる」と強調しました。

経済や文化面での交流と協力を促進する考えも示しており、台湾への融和的な姿勢をアピールする一方で、独立への牽制も強めています。例えば、台湾の専門家である林志豪氏(仮名)は、「中国はソフトパワーとハードパワーの両方を駆使して台湾への影響力を強めようとしている」と指摘しています。

経済・文化交流で「統一」への地盤固め

中国は、経済・文化交流を通じて台湾との関係強化を図り、「一つの中国」という主張の浸透を図ろうとしています。しかし、台湾側からはこうした動きへの警戒感も根強く、今後の両岸関係の行方が注目されます。

中国の思惑と台湾の反応

中国政府は、全人代を通じて台湾統一への強い意志を改めて示しました。民間交流の活発化を呼びかけることで、国際社会に向けて「平和的な統一」をアピールする狙いがあるとみられます。

しかし、台湾の蔡英文総統は、中国の圧力に屈することなく、民主主義と自由を守るとの姿勢を崩していません。台湾世論も中国への警戒感を強めており、中国の思惑通りに進むとは限りません。今後の両岸関係の動向から目が離せません。