長年にわたり兆候は明らかでした。韓国の出生率は過去10年間のほとんどで低下し続けており、アジア地域での地政学的な脅威が増大し、世界各地で紛争がくすぶる中、これは韓国軍にとって深刻な問題となっています。この人口動態の変化は、韓国の防衛力に直接的な影響を及ぼし、国際社会における同盟国との連携にも課題を投げかけています。
韓国軍兵力、6年間で20%減少の背景
新たな報告書によると、韓国軍の兵力は過去6年間で20%減少しており、その主な原因は若年層の兵士の不足です。これは、世界で最も急速に高齢化が進む国の一つである韓国における労働力減少と高齢者人口の増加を反映しています。国防省の報告書は、兵力減少が人口減少や「兵士の待遇」を巡る士官志望者の減少など、「複雑な要因」によるものだと説明しています。報告書で待遇の詳細は明かされていませんが、これまでの研究や調査では、韓国軍の過酷な労働環境が度々浮き彫りにされてきました。
韓国軍の発表によれば、2019年には56万3000人だった兵力が、2023年7月時点では45万人にまで減少しています。この減少傾向が続けば、「常備軍の兵員数を精鋭部隊の確保が困難になり、装備の運用にも限界が生じる可能性がある」と報告書は警告しています。
北朝鮮が公開した2017年の軍事パレードで閲兵する兵士たち
高まる北朝鮮の脅威と国際情勢
この兵力減少の報道は、大規模な駐留米軍を擁し、米国と相互防衛条約を結ぶ主要な西側の同盟国である韓国にとって、非常に不都合なタイミングでなされました。国境を接する北朝鮮は、ウクライナの戦線にロシアのために数万人の兵士を派遣しているとされ、ロシア政府が国際的な制裁に違反して高度な軍事技術を北朝鮮と共有するのではないかという懸念が強まっています。
一方、北朝鮮を支配する金一族は、攻撃されれば核兵器で韓国を破壊すると威嚇し、韓国政府を依然として「敵」であると警告するなど、敵対的な発言を繰り返しています。これは東アジアの安全保障環境をさらに不安定化させる要因となっています。
北朝鮮も直面する人口問題と韓国の技術革新
しかし、専門家は、これは必ずしも北朝鮮軍の方が有利な状況にあることを意味するわけではないとの見方を示しています。北朝鮮も同様に人口問題と出生率の低下に直面しており、技術力は韓国に比べて大きく遅れています。
こうした状況を踏まえ、韓国は現在、技術革新を通じて新兵不足を補おうとしています。祥明大学のチェ・ビョンオク教授(国家安全保障)は、「通常兵器に関しては、韓国は北朝鮮とは比べものにならないほど先を進んでいる」と指摘。「現在は兵力が少なくなっているが、私は『小規模でも強力な軍隊』と言いたい。それが我々が目指すべき姿だ」と述べ、質の高い技術と兵器による防衛力強化の重要性を強調しています。
結論
韓国軍の兵力減少は、少子高齢化という国内の構造的課題と、北朝鮮の継続的な軍事的脅威、そして不安定化する国際情勢が複合的に絡み合った結果です。この課題に対し、韓国は兵士の待遇改善や徴兵制度の見直しだけでなく、先進技術を導入した「小規模でも強力な軍隊」への転換を図ることで、未来の安全保障環境に適応しようとしています。このような戦略的な転換は、複雑化する東アジアの地政学的状況において、韓国の防衛力を維持・強化するための不可欠な要素となるでしょう。