【パリ=三井美奈】スペインで10日、総選挙の投開票が行われた。中央選管の集計(開票率99%)によると、下院(定数350)では極右「ボックス」(VOX)が議席を2倍以上増やし、第3党となった。サンチェス首相が率いる中道左派「社会労働党」は第一党を維持したものの過半数に至らず、政権不安の長期化は不可避となった。
獲得議席は、社会労働党が120(現有123)、中道右派「国民党」が87(同66)、VOXが52(同24)の順。VOXは、カタルーニャ自治州で独立派のデモが暴徒化する中、分離主義に懸念を抱く有権者を吸収した。右派陣営ではVOXと国民党が票を伸ばす一方、同州が基盤の右派「シウダダノス」が10議席(同57)と低迷。左右両陣営とも、過半数の議席を獲得できなかった。
スペインでは脆弱な少数政権が続き、総選挙は4年間で4度目。今年4月の前回選挙後、サンチェス首相は下院で信任に必要な支持を得られず、今回の再選挙となった。VOXは独立派政党の禁止などの強硬策を主張。前回選挙で初めて下院に進出した。