ロシア経済、深刻な危機に直面か?高金利とインフレの悪循環

ロシアのウクライナ侵攻開始から1年以上が経過し、ここにきてロシア国内経済の先行きに暗雲が立ち込めています。高騰するインフレを抑えようと、ロシア中央銀行は政策金利を21%という異例の水準に設定。これが個人消費や企業活動を圧迫し、経済の悪循環を生み出しているのです。今回は、ロシア経済の現状と今後の課題について詳しく見ていきましょう。

高金利が招く消費低迷と企業の苦境

自動車・住宅市場の冷え込み

ロシアの景気指標の一つである自動車販売台数は、2025年には前年比20%減の130万台程度になると予測されています。新車の在庫も昨年の2倍に膨れ上がり、中古車市場も低迷。原因は、高金利による買い控えです。消費者は高金利でのローンを抱えることを避け、財布の紐を固く締めているのです。

ロシアの自動車販売店の様子ロシアの自動車販売店の様子

住宅市場も同様の状況です。2025年の新築物件販売数は、前年比で最大35%も減少すると予測されています。住宅ローン滞納額も過去最高を記録し、銀行はローン審査を厳格化。住宅購入を希望する人々にとって、高金利は大きな壁となっているのです。

企業倒産の危機

高金利は企業活動にも深刻な影響を与えています。多くの企業で金利支払いの負担が増大し、倒産リスクが高まっていると専門家は指摘します。「ロシア経済研究所」のイワン・ペトロフ氏(仮名)は、「高金利は企業の投資意欲を削ぎ、経済成長を阻害する大きな要因となる」と警鐘を鳴らしています。

インフレ抑制のジレンマ

悪循環からの脱却は困難か?

ロシア中央銀行はインフレ抑制のために高金利政策を維持していますが、これが経済活動を停滞させ、更なる悪循環を生み出しています。経済学者の中には、金利の引き下げを主張する声もありますが、インフレの再燃を懸念する声もあり、難しい舵取りを迫られています。

モスクワ市内の朝鮮料理店のメニュー。インフレで値段のシールが何度も張り替えられているモスクワ市内の朝鮮料理店のメニュー。インフレで値段のシールが何度も張り替えられている

ロシア経済の未来

ウクライナ侵攻の長期化による経済制裁の影響も大きく、ロシア経済の先行きは不透明です。高金利とインフレの悪循環を断ち切り、経済を立て直すためには、抜本的な対策が必要となるでしょう。今後のロシア政府の対応に注目が集まります。

プーチン大統領の指導力とロシア国民の底力が試される局面を迎えています。今後のロシア経済の動向は、世界経済にも大きな影響を与える可能性があるため、引き続き注視していく必要があります。