エルブリッジ・コルビー氏が米国防次官(政策担当)候補として上院軍事委員会の人事公聴会に臨み、日米韓3カ国の安全保障協力の継続に懸念を示しました。コルビー氏は、過去数か月間の韓国の政治状況を踏まえ、協力体制が維持されるか不透明との見方を示しました。
コルビー氏、「アジア版NATO」構想に懐疑的
公聴会では、「アジア版NATO」構想に関する質問に対し、コルビー氏は理論的には反対しないものの、懐疑的な立場を表明。日本、インド、オーストラリアなど、各国の置かれた状況や安全保障上の課題が大きく異なることを理由に挙げました。
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韓国の防衛努力を高く評価、台湾への教訓として言及
一方で、コルビー氏は同盟国である韓国の防衛努力を高く評価しました。台湾の国防予算縮小の動きに対し、「当惑している」と述べ、韓国を模範として台湾との政策対話や助言を進めてきたことを明らかにしました。韓国は「はるかに強力な軍隊を保有した信頼できるモデル」だと称賛しました。
同盟国の防衛費分担に苦言、韓国は「役割を果たしている」
コルビー氏は、同盟国の防衛費分担についても言及。イスラエル、韓国、ポーランドなどは自らの役割をしっかりと果たしていると評価する一方で、経済規模の大きい一部の同盟国は十分な貢献をしていないと批判しました。「ロシアによるヨーロッパ侵略や北朝鮮による韓国占領は望まない」と強調し、同盟国間の協力の重要性を訴えました。
韓国の政治的安定性に対する懸念
コルビー氏が韓国の政治状況に懸念を示した背景には、昨年12月の非常戒厳宣言やその後の弾劾政局など、政治的な不安定さが続いていることがあります。大統領権限代行体制下での安全保障政策の継続性について、疑問を呈した形です。防衛費負担に関しては韓国を高く評価しているものの、今後の政治動向が日米韓3カ国間の安全保障協力に影響を与える可能性を指摘しました。
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日米韓3カ国協力の重要性が高まる中、コルビー氏の発言は今後の安全保障政策に大きな影響を与える可能性があります。韓国の政治状況の安定化と、同盟国間の信頼関係の構築が、地域の平和と安定にとって不可欠です。