スペイン総選挙 政権不安は長期化か

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スペイン・マドリードの極右政党ボックス本部で笑顔を見せるアバスカル党首=10日(ロイター=共同)

スペイン・マドリードの極右政党ボックス本部で笑顔を見せるアバスカル党首=10日(ロイター=共同)

 【パリ=三井美奈】スペインで10日、総選挙の投開票が行われ、下院(定数350)では極右「ボックス」(VOX)が議席を2倍以上増やし、第3党となった。サンチェス首相が率いる中道左派「社会労働党」は、第1党を維持したものの議席を減らした。左右両陣営とも過半数を獲得できず、政権不安の長期化は避けられない。

 開票結果によると、社会労働党は120議席(現有議席123)を獲得。中道右派「国民党」が88議席(同66)、VOXが52議席(同24)と続いた。VOXの得票率は15%。4月の前回選挙では10%で、第5党だった。

 VOXは「スペイン第一」を掲げて中央集権の強化を主張し、東部カタルーニャ自治州の独立派デモに懸念を抱く有権者を吸収した。同州では先月、独立派指導者に禁錮刑判決が出て以来、抗議デモが続き、放火や警察への投石など暴徒化の動きが出ている。VOXは2013年に結成された新党で、独立派政党の禁止など分離主義への強硬策を主張。前回選挙で初めて下院入りした。

 右派陣営ではVOXと国民党が票を伸ばす一方、経済政策を重視する「シウダダノス」が10議席(現有57議席)と低迷した。サンチェス氏は10日、「全政党に責任感と寛容を求める」と述べ、政権不安を終わらせるため、各党に政権樹立への協力を求めた。

 スペインで総選挙は4年間で4度目。前回選挙後、サンチェス氏は法定期間内に下院で信任に必要な支持を得られず、今回の再選挙となった。左派や少数政党との連携で信任投票を可決させるには、国民党など右派に棄権してもらう必要がある。国民党のカサド党首は10日、国民に「選挙疲れ」が広がっていることを踏まえ、「サンチェス氏が何を示すかを見て、責任ある対応をする」と述べた。

 スペインでは1970年代の民主化後、国民党と社会労働党の保革二大政党による安定政権が続いた。2015年の選挙後、ユーロ危機への対応を批判する左派ポデモス、右派シウダダノスの新党が台頭。多党分立で連立交渉が難航するようになった。同年以降、二大政党による脆弱(ぜいじゃく)な少数政権が続く。

 マドリード・カルロス3世大学のパブロ・シモン客員教授の話「スペインでは、ドイツのような保革中道による大連立政権は期待できない。フランコ独裁体制後、議会制民主主義に移行して約40年しかたっておらず、オランダやベルギーのような多党連立の経験もない。議会には保革に加え、地域主義の対立軸がある。さらに、ドイツで大連立を組む二大政党が今年、反移民の強硬右派に押されて支持を落としたことが教訓となり、政党間の妥協を難しくしている。サンチェス首相が新たな少数政権を樹立しても、いつまで持つか分からない。経済は堅調でも、多党分立で政治は不安定という状況が当面続くだろう」(聞き手 三井美奈)

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