ウクライナ軍、クルスク突出部から撤退の真相:ドローン攻撃と苦渋の決断

ウクライナ軍が昨年8月以来保持してきたロシア西部クルスク州の突出部から撤退を余儀なくされた。この撤退劇の背景には、ロシア軍の巧妙なドローン攻撃と、ウクライナ側の苦しい戦況が大きく影響している。

ロシア軍のドローン攻撃がウクライナ軍の車両を壊滅

クルスク州スジャ町へ向かう幹線道路では、2月23日から24日にかけて、ロシア軍のドローンによる精密攻撃がウクライナ軍車両に集中した。独立系アナリスト、アンドルー・パーペチュア氏も地図画像と共にこの損害を報告し、ウクライナ側の懸念の高まりを指摘している。数十両もの車両が撃破されたこの攻撃は、ウクライナ軍の突出部縮小を決定づける大きな要因となった。

ウクライナ軍の車両を狙ったロシア軍のドローン攻撃ウクライナ軍の車両を狙ったロシア軍のドローン攻撃

苦渋の撤退:ウクライナ兵士の声

ウクライナ退役軍人で現在米国で支援活動を行うコスチャンティン氏は、クルスク州から撤退したウクライナ兵士たちの状況を伝え、「包囲を避けるための苦渋の決断だった」と語っている。現地からの報告も、部隊の再配置を示唆しており、ウクライナ側の苦しい状況が浮き彫りになっている。

ウクライナ軍の苦戦:地理的要因と数的不利

ウクライナ軍は昨年8月にクルスク州へ侵攻し、一定の地域を制圧したものの、スナゴスチ川対岸の拠点確保に失敗。さらに、北への拡大もロシア軍の反撃、東側では北朝鮮部隊との衝突により阻まれた。昨年末にはロシア軍の兵力増強により、ウクライナ軍は数的に3対1の不利な状況に追い込まれていた。

地雷、ドローン、大砲による防衛も限界

ウクライナ軍は地雷、ドローン、大砲を駆使してロシア軍の装甲車両の攻撃を何度も撃退してきた。2月中旬のロシア海軍第155独立親衛海軍歩兵旅団の攻撃では、地雷やドローンによる反撃でロシア軍に大きな損害を与えた。しかし、こうした防衛戦の成功も、最終的には数的優位を持つロシア軍の前に苦戦を強いられる結果となった。

クルスク突出部からの撤退:今後の戦況は?

クルスク突出部からの撤退は、ウクライナ軍にとって痛手であることは間違いない。しかし、この撤退によって兵力を再編し、より戦略的な防衛体制を構築する可能性も残されている。今後のウクライナ軍の動向、そしてロシア軍の対応に注目が集まる。