ボルトン元補佐官へのFBI強制捜査、トランプ氏との確執が背景か

元ホワイトハウス国家安全保障補佐官のジョン・ボルトン氏に対し、米連邦捜査局(FBI)が機密情報流出の容疑で強制捜査を行ったことが波紋を広げています。今回の捜査は、ドナルド・トランプ前大統領(第1期政権時)との長期にわたる対立が背景にある可能性が指摘されており、米主要メディアも懸念を表明しています。

ボルトン氏へのFBI強制捜査とその背景

FBIは8月22日(現地時間)、ジョン・ボルトン氏のメリーランド州にある自宅とワシントンD.C.の事務所を急襲し、機密情報流出の疑いで書類などを押収しました。ボルトン氏はトランプ第1期政権で解任されて以来、「トランプ狙撃手」として積極的にメディアで発言を続けてきました。ワシントン・ポスト(WP)は同日、トランプ氏が最近、自身の和平仲介努力を貶めるボルトン氏の発言に対し、側近に個人的な不快感を漏らしていたと報じ、今回の捜査のタイミングに注目が集まっています。

機密流出容疑でFBIの家宅捜索を受けたジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官が、メリーランド州の自宅に戻る姿。機密流出容疑でFBIの家宅捜索を受けたジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官が、メリーランド州の自宅に戻る姿。

トランプ氏が激怒したボルトン氏の発言

ボルトン氏は最近のメディアインタビューで、トランプ氏の仲介外交を繰り返し批判していました。例えば、今月10日には「トランプ氏は何よりもノーベル平和賞を欲している」と発言し、その2日後にはアラスカで開催される米ロ会談について「プーチン大統領はすでに勝利した」と述べました。これらの発言に対し、トランプ氏は翌日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「米国の地で会談が開かれるにもかかわらず、ジョン・ボルトンのような解任された負け犬や本当に愚かな人々の発言が絶えず引用されている」と投稿し、公然と怒りを爆発させました。トランプ氏の側近は、WPに対し「大統領はおそらく(ボルトン氏の言葉を引用した)放送を直接見ただろう」「トランプ氏は一日中テレビを見ている」と語っています。

長期化する対立と主要メディアの懸念

トランプ氏は第2期政権発足直後の今年1月にも、ボルトン氏に対するシークレットサービスの警護を中止するなど、彼を「目の上のたんこぶ」のように扱ってきました。2019年9月に解任されたボルトン氏が2020年6月に出版した回顧録『ジョン・ボルトン回顧録 トランプ大統領との453日』で当時のトランプ政権の対外政策の混乱を指摘すると、トランプ氏はボルトン氏が国家機密を漏洩したと主張し続けています。米国の主要メディアは今回の事態に対し、一斉に懸念を示しています。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は社説で「今回の事態の真の犯人はトランプ氏だ」とし、「彼は自分の権力を“私的な報復”に使ってもよいと考えているかのように振る舞っている」と指摘。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「ホワイトハウスと司法省、FBI内の忠誠派が『沈黙せよ、さもなくば強大な権力を行使してお前の地位を脅かす』という明確なメッセージを送っている」と懸念を表明しました。

FBI長官の発言と捜査の関連性

特に注目を集めているのは、FBIのカシュ・パテル長官がボルトン氏の自宅と事務所に対する家宅捜索が行われた8月22日に、X(旧ツイッター)に「誰も法の上に立つことはできない」と投稿したことです。ガーディアン紙の8月22日の報道によると、パテル氏が2023年に出版した著書『Government Gangsters』に記載された60人の名簿のうち、ボルトン氏を含む5人がトランプ第2期政権発足以降に捜査を受けているとされています。この発言と捜査の関連性が、今後の展開においてさらなる議論を呼ぶ可能性があります。

結論

ジョン・ボルトン元国家安全保障補佐官に対するFBIの強制捜査は、単なる機密情報流出の疑いに留まらず、ドナルド・トランプ前大統領との長年の確執が深く関係している可能性が指摘されています。主要メディアからの批判やFBI長官の発言など、この件は米国の政治における権力行使と法治のあり方に重要な問いを投げかけており、今後の動向が注視されます。

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