【主張】米大統領選1年 内向きやめ世界戦略語れ

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 来年11月3日に投開票される米大統領選まで1年を切った。

 2016年の前回選挙で「米国を再び偉大に」を掲げて当選したトランプ大統領が再選に挑む。政権奪取を狙う野党・民主党の候補者選びは、来年2月のアイオワ党員集会で火蓋が切られる。

 だが、30年前の東西冷戦終結以来、米中の新冷戦ともいう新たな時代に入った世界は、選挙戦で分断の様相を強める米国の国内事情を斟酌(しんしゃく)しない。

 自由と民主主義という普遍的価値観を守るためにも、内向き志向からの脱却が期待される。

 「米国第一主義」を掲げるトランプ氏は、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」からの離脱通知など、世界的な課題への関与から次々と手を引きだした。

 米軍のシリア撤退表明は、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の掃討で共闘したクルド人勢力を見捨てる結果となった。これを機に同盟国の一部では米国不信がさらに強まった。

 民主党候補を選ぶ予備選も、外交・安全保障政策に関する論争が活発とは言い難い。富裕層向け増税や国民皆保険制度導入を叫ぶウォーレン上院議員のようにトランプ氏を「金持ち優遇」とたたくことに注力する。

 トランプ氏も多国間の枠組みを否定するばかりでは同盟国の理解を得られまい。例えば、現行の世界貿易機関(WTO)体制下で中国が不当に恩恵を受けているという。ならば、これに代わり、各国が協調できる新たな国際秩序をどう構築していくのか、選挙戦を通じて具体的に明示していく必要がある。それがあってはじめて、同盟国との間で対中国でのより緊密な連携が可能となろう。

 軍事、経済両面で共産党一党が支配する中国の台頭を許したとはいえ、米国は依然として世界のスーパーパワーである。国際社会の平和と安定に米国のプレゼンスは欠かせない。それが同盟国との信頼醸成にもつながる。

 折しもトランプ氏の「ウクライナ疑惑」は下院で弾劾訴追調査が本格化した。非難の応酬が過熱すれば国内の分断を深めるだけとなる。選挙戦と並行して米国の指導力が低下する事態は避けねばならぬ。同盟国の日本は、自由で開かれたインド太平洋構想の具現化を通じ、米国を世界につなぎ留めるべきだ。

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