【ロンドン=板東和正】英国の欧州連合(EU)離脱が主な争点となる英総選挙まで12日で1カ月となった。EU離脱の判断を有権者に委ねる「事実上の国民投票」との見方もある一方、有権者の関心は各政党の離脱方針だけでなく、医療や移民問題などの他の政策にも広がりつつある。国民の離脱に対する考えが総選挙に必ずしも反映されない可能性もある。
総選挙の投開票は12月12日。ジョンソン首相率いる与党・保守党は、EUと合意した離脱協定案での離脱に国民の理解を求める。最大野党・労働党は、離脱の是非を問う国民投票の再実施を提案。野党第2党「スコットランド民族党(SNP)」や第3党「自由民主党」などは、EU残留を訴える方針だ。
ただ、今回の総選挙は、離脱派と残留派の政党が票を奪い合う「単純な構図」にはならないとみられる。
英調査会社パネルベースが今月6~8日にかけて有権者1046人を対象に行った世論調査で、「総選挙での投票における重要な政策のテーマを3つあげてください」と質問したところ、最も多く選ばれたのが「NHS(英国の国民保健サービス)と医療」(720票)だった。2位のEU離脱の問題(553票)を160票以上も引き離す結果となった。