近年、多くのファミリーレストランが値上げに踏み切る中、サイゼリヤは価格を据え置きながらも驚異的な集客力を維持しています。その秘密はどこにあるのでしょうか?本記事では、サイゼリヤの成功戦略を紐解き、外食業界における新たな潮流を探ります。
サイゼリヤ、驚異の2割増の集客を達成!
サイゼリヤの2025年8月期上半期の既存店客数は、前年同期比16.2%増と、2年連続で2割近い増加を記録しました。これは、オープンから一定期間が経過した店舗での実績であり、真の集客力の高さを示しています。一方、すかいらーくの既存店客数増加率は、2024年12月期で6.9%、2023年12月期で9.5%にとどまっており、サイゼリヤの勢いが際立っています。
サイゼリヤのメニュー
2024年9-11月期の国内客数は、前年同期比で700万人以上増加し、約4700万人に達しました。この目覚ましい集客力の向上により、停滞していた国内事業も復活の兆しを見せています。売上高は前年同期比20.5%増の395億円、営業利益はなんと20倍の5億円にまで膨らみました。
徹底的なコスト削減と顧客満足度の両立
サイゼリヤは、深夜営業の廃止やメニュー数の絞り込みなど、徹底的なコスト削減策を実施しています。しかし、原材料価格や光熱費、人件費の高騰により、2024年8月期の原価率は40%を超えました。
このような厳しい状況下でも、サイゼリヤは客数増とコスト削減により、国内事業の黒字化を達成しています。「飲食店経営コンサルタントの山田一郎氏」は、「価格競争が激化する外食業界において、サイゼリヤはコスト管理と顧客満足度のバランスを巧みに取っている好例と言えるでしょう」と分析しています。
ガストは高級路線と低価格路線の二刀流戦略
一方、ファミリーレストラン最大手のガストは、高級路線と低価格路線の二刀流戦略を展開しています。2024年11月には、ミシュラン一つ星シェフ監修の「至福のフレンチコース」を1990円で販売し、話題を呼びました。しかし、度重なる値上げによる客離れを懸念し、2025年2月からは平日限定で「ガストフィットメニュー」を導入。30品から3品を選び、ドリンクバーと日替わりスープが付いて1000円前後というコストパフォーマンスの高いメニューを提供しています。
「外食産業アナリストの佐藤美咲氏」は、「ガストは客層の多様化に対応するため、高級路線と低価格路線の両立を目指していると考えられます。しかし、価格帯の異なるメニューを同時に提供することで、ブランドイメージの一貫性を維持することが課題となるでしょう」と指摘しています。
サイゼリヤの成功は外食業界の新たな指標となるか
セブン-イレブン・ジャパンも、高級路線から低価格路線への転換を図り、客数回復に成功しています。この事例からもわかるように、インフレ下において価格戦略は非常に重要です。サイゼリヤの成功は、価格を据え置きながらも集客力を高めるという、外食業界の新たな指標となる可能性を秘めています。
サイゼリヤの今後の動向は、外食業界全体に大きな影響を与えるでしょう。価格競争が激化する中、サイゼリヤはどのような戦略で顧客の心をつかみ続けるのでしょうか。今後の展開に注目が集まります。