フジテレビの元タレント中居正広氏を巡る騒動の影響で、フジテレビのCM枠が番組宣伝とACジャパンのCMばかりになっている現状をご存知でしょうか? 2月の広告収入が前年比90%減という衝撃的な数字が報じられ、消えたCMの行方が注目されています。一体何が起こっているのでしょうか? 今回は、この騒動が引き起こしたテレビ業界のCM争奪戦の裏側を詳しく解説します。
フジテレビのCM、日テレに流入!?
民放関係者によると、フジテレビのCM枠が空いたことで、日本テレビがその恩恵を受けているといいます。捌ききれないほどのCMが殺到しているというのです。
年度末は、企業にとって予算消化の重要な時期。広報部門の広告費も例外ではありません。広告代理店にとっても、予算を消化することは死活問題です。そこで、フジテレビに割り当てられていたCM枠の予算を、他のキー局へ振り分ける動きが活発化しているのです。
コア視聴率が鍵を握るCM争奪戦
数ある民放の中で、なぜ日本テレビにCMが集中するのでしょうか? 自動車、家電、日用品、ビールといった主要メーカーが重視するのは、購買力のあるコア層(13〜49歳)の視聴率です。フジテレビは世帯視聴率こそ4位ですが、「千鳥の鬼レンチャン」や「新しいカギ」「酒のツマミになる話」といった人気番組のおかげで、コア視聴率は2位と健闘しています。そのため、コア層を重視するスポンサーは、世帯視聴率は高くてもシニア層が多いテレビ朝日やTBSではなく、コア層トップの日本テレビを選んでいるのです。
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テレビ朝日は昨年、年間視聴率で世帯、個人ともに全日帯、ゴールデン帯、プライム帯でトップの三冠王を達成しました。しかし、コア層の個人視聴率で見ると、フジテレビよりも低いのが現状です。そのため、フジテレビで放送予定だったCMは、日本テレビに次いでテレビ東京に流れているようです。まさに漁夫の利と言えるでしょう。
CM枠増加で番組短縮の事態も
日本テレビにとっては嬉しい悲鳴ですが、その一方で苦労もあるようです。営業部門から各番組へCMの増枠要請がひっきりなしに来ているといいます。しかし、番組提供社のタイムCMを増やすのは難しく、スポットCMを増やすしかありません。ゴールデン帯で1分、朝の番組で2分といった増枠要請に応えるためには、番組を短縮する「本編切り」をするしかないケースも出てきているそうです。番組制作スタッフにとっては、まさに苦渋の決断でしょう。
テレビ東京も恩恵を受ける
フジテレビのCM枠が空いたことで、思いがけず恩恵を受けているのがテレビ東京です。コア視聴率の高さが評価され、CMが流入しているようです。
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CMはテレビ局の生命線
テレビ局にとって、CMはまさに生命線です。CM収入は、番組制作費や人件費など、様々な費用に充てられています。今回の騒動は、テレビ業界のCMを取り巻く状況を改めて浮き彫りにしました。今後の動向に注目が集まります。