ベルクといえば、首都圏を中心に展開する人気のスーパーマーケット。そのベルクが、従業員の安心安全を守るためにある大きな変化を取り入れました。なんと、2月から店頭従業員の名札から名字の表記を廃止したのです。今回は、この取り組みの背景や効果、そして今後の展望について詳しく見ていきましょう。
カスハラ増加を受け、従業員のプライバシー保護へ
近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)が社会問題化しています。ベルクでも、2024年の社内アンケートで従業員の36.2%がカスハラ被害を経験したと回答。中には、名札に記載された名字を悪用され、精神的な負担を感じた従業員も少なくありませんでした。
ベルクの新しい名札
例えば、「レジに不慣れな従業員に男性客が何度も名字を連呼した」「SNSに書き込むと脅された」「名前を覚えられたと言われ恐怖を感じた」といった事例が報告されています。こうした状況を受け、ベルクは従業員のプライバシー保護と安心して働ける環境整備を最優先に考え、名札から名字を非表示にする決断を下しました。
新しい名札は「STAFF」に統一!フレンドリーな接客をアピール
新しい名札には「STAFF」の文字が大きく表示され、余白には「笑顔で接客します!」といったメッセージが添えられています。顧客に対してフレンドリーな接客をアピールすると同時に、従業員一人ひとりが個性を尊重され、安心して働ける環境づくりを目指していることが伝わってきます。
店舗責任者の名札はストラップに「店長」「副店長」などの役職名が印字されており、役割が明確にわかる工夫もされています。また、名札の裏面にはこれまで通り名字が記載されているため、バックヤードでの業務や休憩時間には従業員同士の円滑なコミュニケーションを維持することができます。
従業員からも高評価!97%が支持
名札から名字を非表示にする取り組みは、2024年11月から10店舗で試験的に導入されました。その結果、今年2月に行われた社内アンケートでは、対象店舗の従業員973人のうち97%が支持。レジ担当者の67%が精神的負担の軽減を実感したと回答しました。顧客からの批判的な意見もわずか2%にとどまり、取り組みは概ね好意的に受け入れられていると言えるでしょう。
飲食店経営コンサルタントの山田一郎氏もこの取り組みを高く評価しています。「カスハラ対策として非常に効果的な施策と言えるでしょう。従業員のメンタルヘルスを守りつつ、顧客満足度を高めるためには、企業のこうした積極的な取り組みが不可欠です。」
髪色自由化、レジ専用椅子導入など、働きやすい環境づくりを推進
ベルクは、従業員が自分らしく働ける環境づくりにも積極的に取り組んでいます。2023年9月からは髪色やアクセサリーのルールを緩和し、金髪などの派手な髪色でも勤務可能に。また、2023年4月からは一部店舗で座りながらレジ業務ができる「レジ専用椅子」を導入し、全店への拡大を進めています。
これらの取り組みは、求人応募数の増加や求人コストの削減にも繋がっているとのこと。学生アルバイトや新卒採用において、ベルクの働き方改革に共感する若者が増えていることが伺えます。
まとめ:顧客と従業員の双方にとってより良い未来へ
ベルクの名札から名字を撤廃する取り組みは、カスハラ対策として大きな一歩と言えるでしょう。従業員のプライバシー保護と安心して働ける環境づくりを重視することで、顧客へのサービス向上にも繋がると期待されます。今後もベルクは、顧客と従業員の双方にとってより良いお店づくりを目指し、様々な取り組みを推進していくことでしょう。