働きがいのある会社で、やりがいを感じながらキャリアを築きたい。誰もがそう願う一方で、人間関係や仕事のプレッシャーなど、予期せぬストレスからメンタル不調に陥るケースも少なくありません。一度休職を経験すると、復職後も再発の不安がつきまとい、「会社は辞めたくないけれど…」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、産業医の薮野淳也氏の著書『産業医が教える 会社の休み方』（中央公論新社）を参考に、心身ともに健康的に働くために必要な視点、”適職”について考えていきます。
職場選びで重要な「健康」という視点
ストレスで体調を崩しても、職場環境の調整や休養を経て、多くの人は回復し、再びいきいきと働き始めます。しかし、どうしても職場に馴染めないというケースも存在します。
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例えば、料理が好きな人が、どんなに努力しても繊細な盛り付けが苦手だったり、几帳面な人が大雑把な作業にストレスを感じたりするように、仕事にも向き不向きがあります。どんな職場や仕事にも「慣れればできる」とは限らないのです。
適材適所という言葉があるように、やりたいこと、できること、そして自分に合っていることは必ずしも一致しません。努力しても馴染めない、合わないと感じるなら、より適した職場に移る方が、本人にとっても会社にとっても、ひいては社会全体にとってもプラスになる可能性があります。
企業理念への共感、キャリアアップの機会、給与など、企業を選ぶ基準は様々です。これまで健康に問題がなかった人は、「健康的に働けるか」という視点は意識の外にあったかもしれません。しかし、少子高齢化による労働力不足、定年延長の流れの中で、70代まで働くことが当たり前になる時代もそう遠くはありません。だからこそ、長く健康的に働ける職場を見つけることが、これまで以上に重要になってくるのです。
メンタル不調の根本原因は職場環境に？
メンタル不調で休職を繰り返す人の場合、本人の性格やスキルと、仕事内容や職場環境のミスマッチが原因となっているケースが見られます。それでも「この会社で働きたい」と復職にこだわる人もいます。
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努力して手に入れたポジションを手放したくない、せっかく築いた人間関係を壊したくない、という気持ちは理解できます。有名料理研究家のAさんも、「かつては憧れのレストランで働くことが夢だった。しかし、過酷な労働環境で体調を崩し、休職を余儀なくされた。それでも、そのレストランで働くことに強いこだわりがあった」と語っています。
しかし、Aさんはその後、自身の料理教室を開き、現在は心身ともに健康的に活躍しています。彼女のように、環境を変えることで本来の能力を発揮できるようになるケースは少なくありません。
自分にとっての「適職」とは？
では、どうすれば自分にとっての「適職」を見つけることができるのでしょうか？ キャリアカウンセラーのBさんは、「自分の価値観、強み、弱みを理解することが重要」と指摘します。 「好きなこと」だけでなく、「得意なこと」、「ストレスを感じにくいこと」を把握することで、より自分に合った仕事を見つけやすくなります。
健康的に働き続けるために
人生100年時代と言われる現代において、健康は最大の資本です。 やりがいのある仕事と健康の両立を実現するためにも、自分にとっての「適職」について改めて考えてみませんか？ もしかしたら、今の職場が本当に自分に合っているのか、立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。
