米ホワイトハウス高官が、主要貿易赤字相手国の一つとして韓国を名指しで批判しました。韓国政府は自由貿易協定(FTA)に基づき相互関税を課さないよう求めていますが、米国がこれを受け入れる可能性は低いと見られています。本記事では、米韓貿易摩擦の現状と今後の展望について詳しく解説します。
米国、韓国への貿易赤字に不満を表明
ホワイトハウス国家経済会議(NEC)のケビン・ハセット委員長は、CNBCのインタビューで、欧州、中国、韓国に対する貿易赤字が長年にわたり続いていると指摘。その原因として、非関税障壁や高関税により米国企業が競争しにくい状況にあることを挙げました。
ホワイトハウス
ハセット委員長は、「韓国、欧州、中国がただちに全ての非関税障壁を撤廃すれば交渉は終了する」と述べ、トランプ大統領の交渉姿勢に好意的に対応する国に期待を示しました。一方で、貿易障壁を撤廃しない国には関税を課す考えも明らかにしました。
FTA締結国にも関わらず、貿易摩擦の火種
韓国は、米国の貿易赤字相手国の中で8番目に位置しており、2022年の貿易黒字額は557億ドルに上ります。日米韓はFTAを締結済みで、多くの品目で既に無関税となっています。しかし、ハセット委員長の発言は、「月齢30カ月以上の牛肉輸入禁止」などのセンシティブな農産物規制を含む非関税障壁の撤廃を求めるものと解釈されます。
牛肉
トランプ大統領は、相互関税を課す際には相手国の関税だけでなく、非関税障壁など不公正な規制も考慮すると明言しています。米国通商代表部(USTR)は、国内業界の声をまとめ、ホームページで公開しました。それによると、韓国が改善すべき問題点として、補助金支給、低価格な電気料金、薬価統制、為替相場管理などが挙げられています。米国鉄鋼協会は、「韓国政府が有利な条件で自国企業に補助金を出して低い電気料金などを提供している」「為替相場を管理して韓国の製造業者に恩恵を提供している」と主張しています。
今後の展望:交渉の行方と市場への影響
米国は、トランプ大統領特有の「先に関税発表、後に交渉」のスタンスを維持するとみられます。相互関税発効期限までに最大限の交渉力を発揮しなければならない状況です。ハセット委員長は、「4月2日までは不確実性があるだろう。しかし、4月になれば市場は相互主義的な貿易政策の妥当性を理解するだろう」と述べています。
専門家の見解
国際経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「米国の強硬姿勢は、国内産業保護と貿易不均衡是正への強い意志の表れだ。韓国は、FTAの精神に基づき、米国との建設的な対話を進める必要がある」と指摘しています。
まとめ
米韓貿易摩擦は、FTA締結国間でも貿易不均衡や非関税障壁が問題となり得ることを示す事例です。今後の交渉の行方によっては、両国経済だけでなく、世界経済にも大きな影響を与える可能性があります。今後の展開に注目が集まります。