東京都葛飾区で11月9日に投開票された区議会議員選挙が、今、政界ウォッチャーの間で大きな注目を集めています。この選挙結果は、単なる地方議会の動向にとどまらず、日本の政治全体に深く関係する重要な「意味」を持っていると見られています。
葛飾区議選の注目すべき結果
葛飾区議会の40議席を巡っては、前回(2021年)より5人多い65人が立候補しました。今回の選挙でトップ当選を果たしたのは、参政党の新人、菅野勇人氏(29歳)です。彼は前回のトップ当選者である小林ひとし氏(無所属)を1952票も上回る7667票を獲得し、大きな躍進を見せました。
また、3位には日本国民党代表の鈴木信行氏がランクイン。鈴木氏は4年前の区議選では1987票で落選していましたが、今回はその3倍近い5571票を獲得しました。菅野氏は民泊の規制強化や国民健康保険料未納などの外国人問題、鈴木氏も外国人の生活保護見直しなどを主張しており、こうした「右派」と称される候補者が高い得票を得たことが、今回の葛飾区議選の最も顕著な特徴と言えるでしょう。
高市首相の地元に設置されたポスターと葛飾区議選の関連
左派政党の苦戦と票数減
一方で、公明党は8議席、共産党は4議席を確保し、ともに区議選前の議席数を維持しました。しかし、その内情を見ると、公明党は前回の区議選で落選者を出した反省から、今回立候補者数を8人に絞る戦略をとっていました。また、共産党では区議団長の三小田准一氏が落選しています。
さらに総得票数に注目すると、公明党は前回の2万6878票から今回は2万3163票へと3715票減少。共産党も1万5707票から1万1535票と、前回から4172票も減らしており、議席数維持の裏で支持基盤の弱体化が浮き彫りになりました。
高市内閣の高い支持率と自民党への影響
このような地方選挙の結果に先行して、国政では昨年10月の衆院選、そして今年7月の参院選で自民党と公明党が議席を失い、国民民主党や参政党などが躍進する事態が発生しました。その責任を問われた石破茂前首相はしぶしぶ退陣を表明し、「政治とカネ」の問題にうんざりした公明党はついに連立を離脱、野党側との連携を探る動きを見せていました。
しかし、10月21日に高市早苗政権が発足すると、マスコミ各社による内閣支持率は大きく上昇しています。例えば、NHKが11月7〜9日に行った世論調査では、高市内閣の支持率は66%を記録しました。これは発足直後としては、小泉純一郎内閣の81%、鳩山由夫内閣の72%に次ぐ高い数値です。
ところが、この高い内閣支持率が自民党の「復権」に直結するわけではないようです。同党の政党支持率は30.7%と、前回の調査からわずか3.3ポイントの上昇にとどまっています。このことは、たとえ総理大臣が交代しても、自民党に対する国民の評価は依然として厳しいという現実を示唆しています。そして、その国民感情が端的に表れたのが、今回の葛飾区議選の結果であると言えるでしょう。
結論
葛飾区議選の結果は、日本の政治における新たな潮流を浮き彫りにしました。右派候補者の台頭と旧来の左派政党の得票数減少は、有権者の間に特定の政策課題に対する強い関心が高まっていることを示しています。同時に、高市内閣の高い支持率にもかかわらず、自民党全体の支持率が伸び悩んでいる事実は、国民がリーダーシップと政党への評価を分けて考えている可能性を示唆しています。今後の国政選挙においても、今回の葛飾区議選で示されたような民意の変化が、どのような影響を及ぼすのか、その動向が注視されます。





