高市新首相の「ビビリ」戦略:難題山積の政権運営を読み解く

高市早苗新首相は、外交日程を終え、国会での論戦に臨んでいます。予想外の高い支持率を受けて自民党内では早期解散説も浮上していますが、政治評論家の古賀茂明氏は、楽観視できない状況にあると指摘しています。少数与党政権として多くの難題に直面する中で、高市首相がどのように政権を維持していくのか、その「ビビリ」とも評される戦略に注目が集まっています。

高支持率の裏に潜む現実

高市首相は発足直後から高い支持率を維持していますが、その裏には厳しい現実が横たわっています。衆参両院で過半数割れの少数与党政権であるため、政策実現には困難が伴います。特に、日本維新の会が一丁目一番地と掲げ、自民党も約束した衆議院議員定数1割削減を目指す議員立法案の提出と成立には、自民党内の合意形成が不可欠ですが、その見通しは立っていません。

さらに、野党が要求する消費税減税や企業・団体献金規制強化を拒否しつつ、今臨時国会中に今年度の補正予算を成立させる必要があります。この補正予算には、防衛費の対GDP比を今年度中に2%とするための予算も含まれており、これはトランプ米大統領への約束であるため、絶対に成立させなければならない課題です。

外交成果と内政の課題

一連の外交日程を無事に終えた高市首相ですが、内政では年内に来年度の予算案とその前提となる税制改正の結論を出さなければなりません。野党からの多岐にわたる要求に対し、どこまで譲歩し、何を死守するかの判断が求められます。一歩間違えれば、日本維新の会との連立に亀裂が入る可能性や、野党の徹底抗戦に遭い、政権運営が行き詰まる事態も考えられます。政権運営において最も難しいとされる予算編成が、事実上の内政における初仕事となるため、高市首相は非常に気の毒な状況にあるとも言えます。

政治評論家・古賀茂明氏、高市早苗首相の政権運営を分析政治評論家・古賀茂明氏、高市早苗首相の政権運営を分析

「ビビリ」が導く政権維持の道

このような難題に直面しながらも、古賀茂明氏は、高市首相が大きな失点なく政権を維持していくのではないかという雰囲気を察知しています。これは、単に支持率が高いからでも、官邸の経産官僚OBらによる「チーム高市」の手腕に期待するからでもないと言います。古賀氏の分析の核心は、高市首相が「ビビリ」(怖気付く)であるという点にあります。

古賀氏は、トランプ大統領が常に威勢のいい発言をするものの、最終的には怖気付いてそれを撤回する姿を「Trump always chickens out」(略してTACO)と揶揄されてきた例を挙げます。最近の中国との交渉におけるレアアース輸出規制や米国産大豆輸入停止への対抗措置に対して、トランプ氏が慌てて習近平国家主席におべっかを使い、関税脅しを取り下げたことで、この評価はさらに定着しました。

古賀氏は、同様に高市首相も「TACO(Takaichi always chickens out)」であると見ています。この「ビビリ」という特性が、無謀な政策決定を避け、慎重な政権運営に繋がり、結果として大きな失点を防ぐ要因となる可能性を指摘しているのです。この分析が、高市政権の今後を読み解く上で重要な視点となるでしょう。

参考文献

  • 古賀茂明氏「高市新首相の「ビビリ」が政権を救う?古賀茂明が「TACO(Takaichi always chickens out)」と指摘するワケ」 Yahoo!ニュース