消費税減税:立憲民主党内の新たな火種となるか?

立憲民主党内で、消費税減税を推進する動きが活発化しています。国民民主党やれいわ新選組が減税を掲げて支持を集める中、江田憲司元代表代行らを中心としたグループが、夏の参院選の目玉政策として「消費税減税」を打ち出すべきだと主張を強めているのです。この動きは、これまで国政選挙のたびに繰り返されてきた党内における減税派と財政規律派の対立を再び激化させる可能性を秘めています。

減税派の台頭と参院選への影響

減税派の急先鋒と言えるのが、江田氏が会長を務める「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」です。昨年末に結成されたこの会は、食料品にかかる消費税を時限的にゼロにすることを参院選公約に盛り込むよう求めており、5月にも執行部に提言を行う予定です。

江田憲司元代表代行江田憲司元代表代行

さらに、消費税率5%への引き下げを訴える新たな勉強会も発足し、末松義規元復興副大臣を会長に31人の国会議員が参加しています。彼らは「数の力で執行部を動かす」と意気込んでおり、減税派の勢いは増すばかりです。

支持率低迷が背景に

減税派が勢いづく背景には、立憲民主党の支持率の低迷があります。各種世論調査では国民民主党に支持率で抜かれ、れいわ新選組にも猛追されている状況です。186議席を擁する立憲民主党執行部といえども、数十人規模に膨れ上がった減税派の声を無視することは難しくなっています。

財政規律派との対立再燃

しかし、立憲民主党内には、消費税率10%への引き上げを主導した野田佳彦代表をはじめとする財政規律派が根強く存在し、減税派の前に立ちはだかります。野田氏は、日銀の金融政策転換を踏まえ、「今はより一層の財政規律が必要だ」と減税論を一蹴しています。

過去には、令和3年の衆院選と4年の参院選で減税派の圧力により「消費税率5%への時限的引き下げ」を公約に掲げたものの、議席を減らす結果に終わっています。この苦い経験から、党内には「民主党政権の反省を踏まえ、財源論を無視するわけにはいかない」という声も上がっています。

今後の展望

今後の焦点となるのは、参院選を前に、立憲民主党執行部がどのような決断を下すかです。支持率回復のために減税に舵を切るか、それとも財政規律を重視した路線を維持するか、難しい選択を迫られています。今後の党内動向、そして参院選の結果に大きな影響を与えることは間違いありません。