【ワシントン=黒瀬悦成】ヘイリー前米国連大使は12日に発売された自身の回顧録で、大使在任中に当時のティラーソン国務長官やケリー大統領首席補佐官らからトランプ大統領に抵抗するため手を組もうと誘われたと明らかにした。
ヘイリー氏はトランプ氏の信任が厚く、2024年の大統領選への出馬も取り沙汰されている。回顧録での記述はトランプ氏を支持する立場から、政権の重要閣僚および側近のティラーソン氏とケリー氏が大統領の外交政策を妨害しようと背を向ける態度を非難するトーンになっている。
ヘイリー氏の回顧録「お言葉ですが」によると、ティラーソン氏とケリー氏はイラン核合意からの離脱、在イスラエル米大使館のエルサレムへの移転などといったトランプ氏の外交政策にことごとく異を唱え対立していた。
ヘイリー氏はティラーソン氏から「トランプ氏を制御しないと死者が出る」とも言われたとしている。
しかし、ヘイリー氏はティラーソン氏らの行動を「危険」と判断し、指示には従わなかったとし、「意見が違うのなら大統領に直接伝え、大統領の手法を好まないのなら辞任すべきだった」と指摘した。
また、大統領の政策遂行を政権の内部から妨害するのは「憲法違反で、国民の要請にも反する危険な行為だ」と批判した。
ティラーソン氏とケリー氏はトランプ氏との関係悪化により、いずれも昨年に政権を去っている。