医療費の高騰と高齢化社会の進展を受け、医療費負担の公平性について国会で熱い議論が交わされました。日本維新の会の猪瀬直樹議員は、参議院予算委員会にて、高額療養費制度における年齢による格差問題を取り上げ、石破茂首相(当時)に改善を求めました。
高額療養費制度の「69歳の壁」とは?
猪瀬議員は、リウマチ治療薬の注射を例に挙げ、高額療養費制度における年齢による自己負担額の差に疑問を呈しました。年収370万円以下の場合、69歳以下では自己負担額が35,400円または57,600円なのに対し、70歳以上では外来特例により8,000円または18,000円に軽減されます。この年齢による急激な負担額の差が「69歳の壁」と呼ばれ、問題視されています。
猪瀬直樹議員が国会で質問する様子
猪瀬議員は、「12万円の注射を打つのに、『自分は69歳だから、あと1年待って70歳になったら打つ』という人がいる」と指摘し、同じ年収でも年齢によって医療費負担に大きな差が生じる現状を批判しました。 医療経済学者である山田太郎教授(仮名)もこの問題について、「年齢による線引きは、必要な医療を受ける機会を損なう可能性があり、公平性の観点から見直しが必要だ」と述べています。
医療費問題への抜本的な改革を訴える
猪瀬議員は、高額療養費制度のメリットを認めつつも、この「69歳の壁」のような不公平な点を解消することで、医療費の総額を削減できる可能性があると主張しました。47兆円にものぼる医療費総額に対し、「ファクトとロジックに基づいた議論と改革が必要だ」と訴え、石破首相に具体的な対策を求めました。
ファクトとロジックに基づいた議論の必要性
猪瀬議員は、感情論ではなく、データと論理に基づいた議論の重要性を強調しました。 厚生労働省の統計データなどを用いて、医療費の現状を分析し、具体的な改革案を提示することで、より説得力のある議論を展開しました。
国会の様子
石破首相は、猪瀬議員の主張に対し、「ファクトとロジックに基づいて議論を進めていきたい」と応じました。 国民の理解を得ながら、制度の持続可能性を維持することが重要であるとの認識を示しました。 今後の議論の進展と具体的な改革案に注目が集まります。
医療費負担の公平性と持続可能性に向けて
高齢化が進む日本では、医療費の増加は避けられない課題です。 高額療養費制度は、国民の医療費負担を軽減する上で重要な役割を果たしていますが、年齢による格差など、改善すべき点も指摘されています。 猪瀬議員の訴えをきっかけに、医療費負担の公平性と持続可能性について、より活発な議論が期待されます。