韓国の医療界で大きな話題を呼んでいる、ソウル大病院公共診療センターのクォン・ヨンジン教授による医療研修制度改革の提言。日本の医療関係者も注目すべき、その内容を詳しく解説します。
時代の変化に合わせた研修制度改革の必要性
クォン教授は、現在の韓国の医療研修制度が抱える問題点について、師弟関係を重視する儒教的な文化に基づいた旧態依然としたシステムにあると指摘しています。現代社会において、全ての医師が師弟関係を築けるとは限らず、知識・技術の習得を重視した契約的な関係へとシフトしていくべきだと主張しています。 これは、日本における徒弟制度的な研修システムにも通じる課題と言えるでしょう。
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ドイツ式「年次別研修制度」への転換
クォン教授が提言する改革案の中核となるのが、ドイツ式の「年次別研修制度」の導入です。この制度では、研修医は年次ごとに必要な研修項目と取得ポイントが明確に設定されており、各段階で必要な知識・技術を確実に習得していくことができます。
序列を防ぎ、医師の質を向上
年次別に研修内容が定められているため、研修医間の序列を防ぎ、個々の能力に応じた研修が可能になります。また、研修医は研修病院や指導医を選択できる一方、評価結果を受け入れる義務があり、指導医も研修医の能力が基準に達していない場合は留年させることができます。これにより、医師全体の質の向上に繋がると期待されています。
労働時間規制にとらわれない研修の重要性
クォン教授は、研修医の労働時間規制についても言及しています。手術や患者ケアなど、医師としての責任感と職業倫理を養うためには、労働時間に縛られず、必要な経験を積むことが重要だと主張しています。長時間の手術にも最初から最後まで参加し、術後のケアも責任を持って行うことで、真の医療 professionals として成長できると考えています。
指導医の役割と博士号取得の必要性
クォン教授は、指導医の役割についても再考を促しています。指導医には、単に知識や技術を伝えるだけでなく、医師としての倫理観や責任感も指導する責任があります。また、指導医の選定基準についても、博士号の有無ではなく、臨床経験や手術件数、研究実績などを重視すべきだと提言しています。
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研修制度改革で未来の医療を創造
クォン教授の提言は、韓国だけでなく、日本の医療界にも大きな示唆を与えています。 時代遅れな慣習にとらわれず、医師の育成システムを改革することで、より質の高い医療を提供できる未来を目指すべきではないでしょうか。
まとめ:研修医の主体性と質の向上を目指して
クォン教授の提言は、研修医の主体性と質の向上を目指した、未来志向の改革案と言えるでしょう。日本も、この提言を参考に、より良い医療研修制度の構築に向けて議論を深めていく必要があります。