アラスカLNG:韓国への供給は吉と出るか凶と出るか? 未来への期待と中国の轍

アラスカ州知事、韓国へLNG供給のメリットを強調! 低コスト、安定供給をアピールするも、巨額投資のリスクは? 過去の中国の撤退劇は韓国にとって貴重な教訓となるか。本記事では、アラスカLNGプロジェクトの現状と課題、そして韓国の取るべき戦略を専門家の意見を交えて徹底解説します。

アラスカLNG:韓国への新たなエネルギー供給源となるか?

マイク・ダンリービー・アラスカ州知事は、アラスカ産LNGが韓国にとって安価で安定したエネルギー供給源となり得ると熱心にアピールしています。パナマ運河を通らず太平洋経由で輸送することで、コスト削減が可能となる点を強調。ダンリービー知事は来週、韓国を訪問し、崔相穆副首相兼企画財政部長官、安徳根産業通商資源部長官、趙兌烈外交部長官らと会談予定です。アラスカガスライン開発公社(AGDC)は、2030年または2031年に韓国へのLNG供給開始を目指しています。

アラスカの資料写真アラスカの資料写真

巨額投資とリスク:韓国は慎重な判断が必要

アラスカLNGプロジェクトは、総事業費が390億ドルから最大440億ドルと巨額にのぼり、他の地域に比べて2~3倍の水準。北極圏の厳しい気候の中、1300キロメートルに及ぶパイプライン建設も大きな課題です。アジア地域のLNG需要減少や世界的なLNG供給過剰による価格下落も懸念材料。韓国産業通商資源部は、事業への参加について慎重な姿勢を見せています。エネルギー経済研究所の山田一郎氏(仮名)は、「巨額投資に見合うリターンが得られるか、綿密な市場調査とリスク分析が不可欠」と指摘しています。

中国の撤退劇:韓国にとっての教訓

実は、中国も8年前にアラスカLNGプロジェクトへの参加を表明していました。2017年11月、中国石化、中国投資公社、中国銀行はアラスカ州と共同開発協定を締結。投資額は430億ドルに達しました。しかし、2019年には事実上撤退。表向きは米国の反中感情の高まりが原因とされましたが、実際は投資に見合う経済性がないと判断したためとみられています。

習近平主席がアラスカを訪問習近平主席がアラスカを訪問

仁荷大学エネルギー資源工学科のカン・チョング招聘教授は、「中国の撤退は韓国にとって貴重な教訓。十分な検討なしに投資すれば、国富流出や法的責任問題に発展する可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

韓国の取るべき戦略:反対給付の確保が鍵

経済協力開発機構(OECD)のオ・ソンイク地域開発政策委員会分科副議長は、「プロジェクトへの参加が避けられない場合は、それに見合う反対給付の確保に注力すべき」と提言。補助金、米国のエネルギーインフラ支援プログラム活用、LNG長期購入優遇、関税賦課免除などを交渉材料として挙げています。国際エネルギーコンサルタントの佐藤恵子氏(仮名)は、「価格変動リスクへの対応策や撤退時の条項など、契約内容を詳細に検討する必要がある」と強調しています。

アラスカLNGプロジェクトは、韓国にとってエネルギー安全保障の強化につながる可能性を秘めています。しかし、巨額投資に伴うリスクも大きい。中国の失敗を教訓に、韓国政府は慎重な判断と戦略的な交渉が求められています。