総務省の有識者会議は12日、携帯電話で動画やSNS(会員制交流サイト)など特定のサービスを使い放題にする「ゼロレーティングサービス」について、利用者や事業者の公平性を確保するための指針案を示した。非契約者にしわ寄せが起きないようにすることなどを盛り込んだ。これに伴い、ネット回線混雑時には通信制限が導入される見込み。年内にも実施に移す。
ゼロレーティングはソフトバンクやKDDI(au)が一部の動画やSNSが使い放題になるプランを提供し、普及が進んでいる。契約者やサービス提供者にメリットが大きい仕組みだが、非契約者や非対象のサービス事業者が不利な立場となる懸念があった。
指針案ではサービスの契約者と非契約者の通信を分け、非契約者の通信品質を維持できるよう義務付ける。これを受け、通信業界では特定アプリなどの視聴で回線が混雑する際は通信量の多い利用者から順に通信を制限するよう通信制限のガイドラインを見直す。
また、望まない利用者が契約しないよう事業者にサービス内容の詳細な説明を求めるほか、実際のデータ使用量の表示を義務付け、利用者が自分に合ったサービスを選べているかを確認できるようにする。
アプリやコンテンツを提供する大手事業者に対しては、競合の中小事業者を締め出すような契約を携帯会社と結ばないよう求める。不当な囲い込みなどで事業者間の争いがあれば、電気通信紛争処理委員会に苦情を申し出る仕組みなども定める。電気通信事業法が禁じる不当な差別的取扱いが確認されれば、業務改善命令の対象とする。