人生、思い通りにいかないことばかり。特に人間関係では、怒りや不満を感じてしまう場面も少なくないでしょう。誰かに裏切られたり、不当な扱いを受けたり…そんな時、怒りを抱え続けるのは苦しいものです。どうすれば怒りを手放し、心の平安を手に入れられるのでしょうか?この記事では、遠藤周作の名作『沈黙』に登場する「キチジロー」を例に挙げながら、怒りを手放すためのヒントを探ります。
怒りの感情とどう向き合う?「許す」と「赦す」の違い
『沈黙』に登場するキチジローは、弱さゆえに何度も神や仲間を裏切る人物です。しかし、彼はその度に許しを請い、神父はそれを受け入れます。この「許す」行為、実は奥が深いのです。
日本語では同じ「許す」という言葉を使いますが、聖書では「許す」と「赦す」は区別されます。「許す」とは、相手の行為を無害なものとして受け入れること。つまり、起きた出来事をポジティブに捉え直すことです。一方、「赦す」の語源はギリシャ語で「手放す」という意味。相手への怒りや恨みを認めつつ、それを手放す行為を指します。
「赦す」とは、怒りを手放し前に進むこと
有名料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「赦し」について独自の解釈を持っています。「『赦す』とは、まるで熱い鉄を握っている手を、ゆっくりと開いていくようなもの。握りしめている間は苦しいけれど、手放せば楽になれる。相手を許すかどうかではなく、自分自身の心の平安のために手放すことが大切」と語っています。
沈黙の書影
怒りを手放すための具体的なステップ
では、具体的にどのように怒りを手放せば良いのでしょうか? 心理学者の佐藤一郎氏(仮名)は、以下のステップを推奨しています。
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怒りの感情を認める:まずは、自分が怒りを感じていることを素直に認めましょう。「なぜこんなに腹が立つのか?」と自問自答し、怒りの原因を明確にすることが重要です。
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相手の立場を考える:「相手はなぜそのような行動をとったのか?」相手の背景や状況を想像してみることで、怒りの感情が和らぐこともあります。
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距離を置く:怒りの感情が強い時は、相手と距離を置くことも有効です。冷静になる時間を持つことで、客観的に状況を判断できるようになります。
自分を責めないことが大切
人間は完璧ではありません。誰しも間違いを犯す生き物です。相手を赦せない自分を責める必要はありません。重要なのは、自分自身を守り、心の平安を保つことです。
怒りを手放すイメージ
怒りを手放し、穏やかな日々を送るために
怒りを抱え続けるのは、自分自身を苦しめる行為です。相手を変えることはできませんが、自分の考え方や行動を変えることはできます。怒りを手放すことで、心の重荷を取り除き、より穏やかな日々を送ることができるでしょう。「赦す」という行為は、相手のためではなく、自分自身のためのものなのです。この記事が、あなたの心の平安を取り戻すための一助になれば幸いです。