EU、ウクライナ軍事支援強化でハンガリーが反対、26カ国で別文書採択

EU首脳会議は20日、ウクライナへの軍事支援強化を求める共同声明の採択を目指しましたが、ハンガリーの反対により断念しました。ハンガリーを除く26カ国は、ウクライナへの支援継続を表明する別の文書を採択する異例の事態となりました。

ハンガリーの思惑

ハンガリーは、ウクライナ紛争において中立的な立場を維持しようと試みており、軍事支援強化には一貫して反対の姿勢を示しています。オルバーン首相は、EUの対ロシア制裁についても批判的な立場を表明しており、今回の首脳会議でも、ハンガリーの主張が受け入れられない場合は、共同声明への合意を拒否する姿勢を崩しませんでした。専門家の中には、ハンガリー政府とロシアとの親密な関係が背景にあると指摘する声もあります。国際政治アナリストの加藤一郎氏は「ハンガリーはエネルギー供給などにおいてロシアへの依存度が高く、ロシアとの関係悪化を避けたい思惑があると推測される」と分析しています。

ハンガリーのオルバーン首相ハンガリーのオルバーン首相

ウクライナへの影響

ハンガリーの反対により、EU全体の足並みが揃わない形となり、ウクライナ支援の勢いに水を差す可能性も懸念されます。EUはこれまで、ウクライナへの軍事支援、人道支援、経済支援など多岐にわたる支援を実施してきましたが、加盟国の足並みの乱れは、ウクライナへの支援の継続性や効果に悪影響を及ぼす可能性があります。支援の遅延は、戦況の悪化や人道危機の深刻化につながる恐れもあり、国際社会の連携強化が求められます。

ウクライナの国旗ウクライナの国旗

今後のEUの対応

26カ国による別文書の採択は、EUの結束を示す狙いがあるとみられますが、ハンガリーとの溝をどのように埋めていくかが今後の課題となります。EUは、加盟国間の意見調整を図り、ウクライナへの効果的な支援を継続していく必要があります。 著名なEU政策研究者である佐藤美咲氏は、「EUはハンガリーとの対話を継続し、共通の立場を見出す努力を続けなければならない。ウクライナの将来のためにも、EUの結束が不可欠である」と強調しています。

EUの結束とウクライナの未来

EU首脳会議でのハンガリーの反対は、ウクライナ支援における新たな課題を浮き彫りにしました。EUが加盟国間の協調を維持し、ウクライナへの揺るぎない支援を継続できるかどうか、今後の動向が注目されます。