「就職氷河期世代」の受難はかなりの高確率で予想されていた…その「衝撃の真実」


【写真】「就職氷河期世代」の受難はかなりの高確率で予想されていた…その衝撃の真実

社会学者・小熊英二さんが、硬直化した日本社会の原因を鋭く分析します。

※本記事は小熊英二『日本社会のしくみ』(講談社現代新書、2019年)から抜粋・編集したものです。

予想されていた「団塊ジュニア」の受難

このことを、マクロ的に示唆するのが図である(※図は割愛)。1990年代に高卒就職者が急減し、代わりに大卒就職者が増加していることがわかる。

図の全就業者数をみると、1960年代後半と90年代前半に2つの山がある。これは、人数が前後の年代より多い「団塊世代」と、「団塊ジュニア」が就職した時期を示す。

そして「団塊世代」が就職した1960年代後半は、中卒就職者が急減して高校進学率(と大学進学率)が伸びた時期である。そして「団塊ジュニア」が就職した90年代前半は、高卒就職者が減り、大学進学率が伸びた時期である。この2つは、いわば大きな変動期だった。

とはいえ「団塊世代」が就職した1960年代は、高度成長で就職口が増えていた。そのため人数が多くとも、彼らは就職することができた。しかし90年代に就職した「団塊ジュニア」は、彼らの人数にみあう就職口がなく、大卒就職率の低下が起きたと考えられる。

これは、バブル崩壊による不運な事態だったのだろうか。そうともいえない。第8章で述べるが、大企業の組織的膨張は、すでに1973年の石油ショック後は頭打ちになっていた。人数の多い世代が大量に学校を卒業しても、高度成長期のように彼らを吸収できる見込みは少なくなっていたのである。

そのため1985年の経済企画庁の報告書は、「団塊ジュニア」の就職難を予想していた。この報告書は、以下のように述べていた。



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