宇宙の誕生からわずか3億年後、想像を絶するほど遠い銀河「JADES-GS-z14-0」に、酸素が存在することが確認されました。この発見は、初期宇宙の星々が驚くべき速さで進化していた可能性を示唆し、宇宙の進化に関する私たちの理解を大きく揺るがすかもしれません。
134億光年の彼方、初期宇宙の銀河に酸素を発見
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって昨年発見された銀河「JADES-GS-z14-0」。その光は134億年もの歳月をかけて地球に届きます。つまり、私たちが今見ているのは、ビッグバンからわずか3億年後の宇宙の姿なのです。
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オランダとイタリアの天文学者チームは、チリのアルマ電波望遠鏡を用いて「JADES-GS-z14-0」を観測。その結果、酸素の存在を示す明確な兆候を捉えることに成功しました。これは、ウェッブ望遠鏡による以前の観測結果を裏付けるものとなります。
従来の定説を覆す、急速な銀河進化の可能性
これまでの定説では、初期宇宙の銀河には水素やヘリウムといった軽い元素しか存在せず、酸素のような重い元素はもっと後の時代に形成されると考えられていました。しかし、「JADES-GS-z14-0」には、予想の10倍もの酸素が含まれていることが判明。これは、銀河の進化が従来の想定よりもはるかに速く進行していた可能性を示唆しています。
ライデン天文台のサンダー・シャウス氏は、「銀河の形成が予想以上に急速に進んでいる証拠が増えている」と指摘。「JADES-GS-z14-0」の観測結果は、この銀河が非常に速いスピードで形成され、成熟したことを示している、と述べています。宇宙物理学者、加藤真由美氏(仮名)もこの発見を「宇宙進化の謎を解き明かす重要な一歩」と評価しています。
宇宙の謎を解き明かす、新たな手がかり
今回の発見は、国際天文学誌「アストロノミー&アストロフィジックス」に掲載される予定です。今後の研究により、初期宇宙の銀河進化に関するさらなる知見が得られることが期待されます。「JADES-GS-z14-0」の酸素は、宇宙の進化における新たな謎を解き明かす、重要な手がかりとなるかもしれません。