静岡県一家4人殺害事件で、47年以上にわたる冤罪の苦しみを味わった袴田巌さん(89)。その長きにわたる身体拘束に対し、静岡地裁は2億1700万円という過去最高額の刑事補償金を交付する決定を下しました。jp24h.comでは、この決定に至るまでの経緯や背景、そして袴田さんの現在の様子について詳しくお伝えします。
47年の歳月、そして再審無罪確定までの道のり
1966年、静岡県で発生した一家4人殺害事件。袴田さんは犯人として逮捕され、死刑判決を受けました。しかし、袴田さんの無実を訴える声は絶えず、長年にわたる再審請求の末、2024年10月に再審無罪が確定しました。この判決は、日本の司法史に残る大きな転換点となりました。
袴田巌さんが再審無罪確定を報告する集会で挨拶をする様子
拘禁による損害と刑事補償請求
袴田さんは、30歳という働き盛りの時期から長期間の拘束を受け、その間、死刑の恐怖に常にさらされ、計り知れない肉体的・精神的苦痛を味わいました。また、本来得られるはずだった収入を失ったことによる経済的損失も甚大です。これらの損害に対し、成年後見人の弁護士は今年1月、国に約2億1700万円の刑事補償を求める請求書を静岡地裁に提出しました。
刑事補償法と最高額の決定
刑事補償法は、無罪が確定した場合、国が1日当たり最大1万2500円の補償金を交付すると規定しています。裁判所は拘束期間や逸失利益などを考慮して金額を決定します。袴田さんのケースでは、証拠捏造による冤罪という特異な事情も踏まえ、静岡地裁は請求額と同額の約2億1700万円を交付する決定を下しました。これは刑事補償としては過去最高額とみられています。静岡地検も、拘束された1万7389日分の補償金が交付されるべきだとしています。
現在の袴田さん:ボクシング観戦を楽しむ日々
長年の拘束生活により、袴田さんには拘禁症状が残っています。しかし、姉のひで子さんに見守られながら、穏やかな日々を送っているようです。最近では、ボクシング観戦を楽しむ姿も報道されています。
袴田巌さん(右)と姉のひで子さんがボクシング観戦を楽しむ様子
今後の展望と社会への影響
今回の決定は、袴田さんにとって、長年の苦しみに対する一つの区切りとなるでしょう。また、日本の司法制度における冤罪防止の重要性を改めて社会に問いかける契機となることが期待されます。
47年という想像を絶する歳月を冤罪によって奪われた袴田さん。この事件を風化させることなく、真の正義とは何かを問い続け、再発防止に努めることが私たちの責務です。