日韓関係の転換点:国交正常化60周年を迎えて

日韓の国交正常化から60年、光復80周年を迎えた2025年は、両国関係にとって新たな節目の年と言えるでしょう。激動の時代を経て築き上げられた現在の関係を土台に、未来志向の友好関係を深めていくためには、過去の適切な整理と現状の正しい認識が不可欠です。今回は、長年日韓関係を見つめてきた専門家の視点から、両国関係の現状と未来への展望を探ります。

尹政権と日韓関係の改善

altalt名古屋南山大学のアジア・太平洋センター長を務める平岩俊司教授は、東京外国語大学で韓国語を専攻し、慶応大学で博士号を取得。在中日本大使館専門調査員や国家安全保障局顧問も歴任した、日本を代表する韓国専門家の一人です。平岩教授は最近のインタビューで、尹錫悦大統領のリーダーシップを高く評価しています。特に、2023年の三一節演説で日本を「協力パートナー」と位置づけたことは、冷え込んでいた日韓関係改善の大きな契機となりました。これにより、日米韓3カ国協力の枠組み強化にも繋がり、北朝鮮問題への対応においても重要な進展が見られています。

若い世代の韓国観:対等な関係への期待

平岩教授は、高齢世代と若い世代の韓国観の違いについても言及しています。高齢世代には、日韓間の微妙な上下関係意識が根強く残っている一方、若い世代は韓国を先進国と捉え、対等な関係を築く土台が既に出来上がっていると認識しています。実際に、韓国の1人当たり国民所得は日本を上回っており、客観的な指標からも両国の経済力は拮抗しています。こうした若い世代の意識変化は、未来志向の日韓関係構築に大きな希望をもたらすでしょう。

過去の歴史と未来への展望

日韓関係の浮き沈み:歴史的事件から学ぶ

日韓関係は、1965年の国交正常化以降も、様々な出来事を経て大きく変遷してきました。1987年の韓国の民主化、1998年の金大中・小渕宣言など、両国関係を前進させる出来事がある一方で、李承晩ラインや朴正熙大統領による軍事クーデターなど、日本側に不安や懸念を抱かせる出来事もありました。文在寅政権時代には、レーダー照射問題やホワイト国除外など、両国関係は再び冷え込みを見せました。これらの歴史的事件から学び、未来への教訓とする必要があります。

専門家の評価:文在寅政権時代との比較

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平岩教授は、文在寅政権時代の日韓関係を50点と評価するならば、現在の尹政権下では80点以上だと評価しています。特に、安保・経済・人的交流という3つの基盤が揺らいでいた文在寅政権時代と比較すると、現在の状況は大きく改善していると言えるでしょう。ただし、韓国国内の保守・進歩間の温度差は依然として存在しており、今後の課題として認識されています。

日韓関係の未来:協力と共存に向けて

日韓両国は、地理的にも歴史的にも密接な関係にあります。過去の出来事を乗り越え、真の友好関係を築くためには、相互理解と協力が不可欠です。特に、若い世代の交流促進や経済協力の深化は、両国関係の未来を明るく照らす重要な要素となるでしょう。国交正常化60周年を機に、日韓両国が未来志向のパートナーシップを構築し、地域全体の平和と繁栄に貢献していくことを期待します。