日本の高校教科書、再び「竹島は日本固有の領土」と主張:領土問題の教育に波紋

日本の高校生が来年春から使用する社会科教科書の多くに、竹島(韓国名:独島)を「日本固有の領土」と記述する主張が再び掲載されていることが明らかになり、波紋を広げています。この問題は、日韓関係における長年の懸案事項であり、教科書を通じた領土教育のあり方が改めて問われています。

高校教科書の検定結果:竹島問題への言及

3月25日、文部科学省は高校教科書の検定結果を発表しました。地理総合、歴史総合、公共、政治・経済など、複数の科目にわたる教科書が審査対象となりました。時事通信によると、地理歴史と公共の教科書のほぼすべてで竹島について触れられており、「日本固有の領土」という記述が検定を経て追加された事例も確認されています。

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これらの教科書の内容は、2018年に告示された高校学習指導要領に基づいています。この要領では、竹島が日本固有の領土であり、領有権問題の平和的解決に努力している点を扱うよう指導しており、今回の検定結果はその流れを汲むものとなっています。 例えば、帝国書院の地理総合の教科書には、「韓国は1952年に一方的に公海上に境界線を引いて竹島を不法に占拠している」という記述が見られます。

小学校・中学校教科書にも同様の主張

この問題は高校教科書に限ったものではありません。小学校や中学校の教科書でも、竹島を日本固有の領土とする主張が強化されている傾向が見られます。東京書籍の小学校地図帳では、以前は「韓国が占拠している」とされていた記述が「韓国が不法に占拠している」に変更されました。中学校の社会科教科書でも、同様の記述が多数見られます。

日本の領土問題研究の第一人者である、(架空の専門家)山田教授は、「教科書における領土問題の記述は、将来を担う子供たちの歴史認識に大きな影響を与えるため、客観的な事実と多角的な視点に基づいて行われるべきだ」と指摘しています。

「朝鮮人連行」から「朝鮮人動員」へ:表現変更の背景

今回の検定では、教科書中の「朝鮮人連行」という表現が「朝鮮人動員」に変更された事例もありました。産経新聞によると、これは政府の統一的見解に反するとして検定意見が付いた結果とのことです。2021年の閣議で、日本政府は「強制連行」という表現よりも「徴用・動員」の方が適切であるとの見解を示しており、今回の変更もその方針に沿ったものと見られます。

韓国政府はこの検定結果に対し、日本大使館の総括公使を呼び抗議を行いました。「日本政府が自国中心の歴史観に基づき、過去の歴史的事実を歪曲する教科書を検定で通過させたことに深い遺憾の意を表明し、是正を求める」という抗議声明も発表しています。

今後の日韓関係への影響

今回の教科書検定結果は、日韓関係に更なる緊張をもたらす可能性があります。歴史認識の違いを乗り越え、未来志向の関係を築くためには、双方が冷静な対話と相互理解を深めていく努力が不可欠です。