ウクライナ紛争の長期化を受け、米国とウクライナの支援をめぐる駆け引きが激化しています。米国がウクライナへの支援の「返済」として、石油や天然ガスを含む資源全般の権益を要求しているとの報道を受け、ゼレンスキー大統領は難色を示しました。今後の両国関係、そしてウクライナ復興の行方はどうなるのでしょうか?
米国、支援の「返済」にウクライナ資源の権益を要求
ロイター通信など複数の欧米メディアによると、米国とウクライナは鉱物資源の権益を巡る協定を協議中で、米国側は当初のレアアース(希土類)などに限定した案から、石油や天然ガスといった資源全般の権益を求めるよう要求をつり上げています。
ウクライナと米国の国旗
新たな協定案では、ウクライナがロシアの侵略開始以降に米国から受けた支援額に年率4%の利息を加えた全額を「返済」するまで、全ての資源から得た収益を共同基金に譲渡することが柱となっています。この基金の理事会は米国3人、ウクライナ2人の代表で構成されるため、米国が主導権を握ることになります。注目すべきは、ウクライナが求めている「安全の保証」はこの協定案には含まれていない点です。
ゼレンスキー大統領、米国の度重なる要求変更に戸惑い
ゼレンスキー大統領は27日の記者会見で、米側が協定の内容を度々変更していることに触れ、「多くの草案がある」と述べ、戸惑いを隠せない様子でした。当初、両国はレアアースなど一部資源の収益の50%を共同基金で管理する案を検討していましたが、2月末の首脳会談が決裂後、米国が見直しを求めたとされています。
ウクライナ復興の行方は?
米財務長官は協定が近日中に署名される見通しを示していますが、ゼレンスキー大統領は現在の提案は包括的なものであり、「詳細に検討する必要がある。協定について話すのは時期尚早だ」と慎重な姿勢を示しています。また、現時点で自身が訪米する予定はないとも語りました。
専門家の間では、資源ナショナリズムの高まりや、ウクライナの主権を巡る議論への発展も懸念されています。例えば、国際関係に詳しい山田太郎教授(仮名)は、「資源の所有権は国家主権の根幹に関わる問題。米国の一方的な要求は、ウクライナの自立的な復興を阻害する可能性がある」と指摘しています。
支援と資源、今後の両国関係は?
ウクライナは戦後復興のために多大な資金を必要としており、米国の支援は不可欠です。しかし、資源権益を巡る今回の交渉は、両国関係に新たな火種となる可能性も秘めています。今後の展開が注目されます。