【ヤンゴン=岩田智雄】ミャンマー中部マンダレー付近を震源とする大地震で30日、救出を待つ被災者の生存率が大幅に下がるとされる発生から72時間が31日午後に迫る中、各地で救助活動が続いた。30日に死者は約1700人、負傷者は約3400人となった。各国の救助隊が現地入りしているが、内戦下にあるミャンマー軍の救助体制は脆弱(ぜいじゃく)で、犠牲者数は拡大しそうだ。現地の日本大使館によると、マンダレーの日本人1人と連絡が取れなくなっている。
隣国インドは救助隊を派遣し、マンダレーで30日朝、活動を始めた。軍用機や艦艇で多くの救援物資や野戦救急車も送った。インドにとり、ミャンマーの一層の不安定化は多くの難民流入などにつながる恐れもある。
今回の地震は、ミャンマーで起きた中では過去100年間で最大とされる。ミャンマーと関係を深める中国は既に救助隊を派遣。ロイター通信によると、タイ、マレーシア、シンガポール、さらに欧米と対立してミャンマーに接近するロシアからも救援物資や人員が送られた。日本の外務省は30日、国際協力機構(JICA)職員や医療関係者ら計5人の調査チームを派遣すると発表した。
2021年のクーデターで全権を掌握した国軍に対抗する民主派の「挙国一致政府(NUG)」
は、30日から2週間、すべての攻撃的軍事行動を停止するとして停戦を発表した。ただ、英BBC放送は、国軍が28日の地震発生3時間弱後に北部シャン州で空爆を行い7人が死亡したと伝えている。
一方、タイ・バンコクの建設中ビル崩壊現場でも30日、救出活動が続き、10人の遺体が収容された。現場では約80人が行方不明。バンコクでの死者は17人となった。