日本の食卓に欠かせないお米が、深刻な不足に見舞われています。価格高騰が続き、老舗米店までもが閉店を余儀なくされる事態に。追い打ちをかけるように種籾の不足も深刻化し、今後の米生産への影響も懸念されています。政府は備蓄米の放出を続けていますが、その効果は未だ見えづらい状況です。一体、日本の米事情はどうなっているのでしょうか?
老舗米店、苦渋の閉店
京都府舞鶴市で90年の歴史を持つ老舗米店「まつもと米穀」が、米不足のため一時閉店を決めました。年間約300トンの米を取り扱ってきた同店ですが、4月以降の在庫が底をついてしまったとのこと。社長の松本泰氏は、「苦しい判断だったが、秋には必ず再開する」と再起を誓っています。
京都の老舗米店が閉店
種籾不足が米生産に影を落とす
米の原料となる種籾も、深刻な不足状態にあります。茨城県の「ゆうゆう農園」では、飼料用米の田んぼを主食用米に切り替えて増産を図っていますが、希望する量の種籾が確保できない品種もあるといいます。代表の山田悠真氏は、「人気の品種は在庫切れが早く、例年にない事態」と危機感を募らせています。
専門家の見解:投機的買い占めではなく、真の供給不足か
政府はこれまで、米の生産量は十分であり、投機的な買い占めが価格高騰の原因と説明してきました。しかし、福井県JAグループの宮田幸一会長は、「コメがどこかに滞留しているのではなく、本当に不足しているのではないか」と指摘しています。
備蓄米放出の効果は?
政府はコメ価格の安定化を目指し、備蓄米の放出を続けています。2回目の入札では、山形県産の「はえぬき」など7万トンが対象となり、来月中旬以降に店頭に並ぶ見通しです。しかし、日本国際学園大学の荒幡克己教授は、「価格低下効果が現れるのは4月下旬以降で、5キロあたり3850~3900円程度になるのではないか。それでも流通量は不足する可能性がある」と予測しています。
米の袋
今後の米の価格と供給はどうなる?
今回の備蓄米放出が、米不足の解消と価格安定につながるのか、予断を許さない状況です。今後の動向に注目が集まります。
私たちにできること
私たち消費者も、米の大切さを改めて認識し、無駄のない消費を心がけることが重要です。また、様々な品種の米を試してみるなど、食卓の工夫も考えてみてはいかがでしょうか。
日本の主食である米の安定供給は、国民生活にとって極めて重要です。今後の政府の対応、そして生産者、流通業者、消費者の協力が不可欠です。