韓国全土を襲う未曾有の山火事。3月下旬から続く乾燥した天候の影響で、その被害は拡大の一途を辿り、ついに宇宙からも確認できるほどの規模に発展しています。本記事では、NASAの衛星写真や韓国気象庁の観測データをもとに、深刻化する韓国の山火事の現状を詳しく解説します。
NASAの衛星写真が捉えた山火事の脅威
NASA地球観測所が公開した衛星写真は、韓国の山火事の深刻さを物語っています。3月22日にNASAのアクア衛星に搭載されたMODIS(中分解能撮像分光放射計)が撮影した写真には、初期の火災発生地である慶尚北道安東、慶尚南道山清付近から立ち上る煙が鮮明に写し出されています。まるで地球が深呼吸をするかのように、煙が空高く舞い上がり、広範囲を覆っている様子は、自然の脅威を改めて認識させられます。
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NASAの山火事情報管理システム「FIRMS」では、刻々と変化する火災状況をリアルタイムで確認できます。3月21日にはわずかだった火災地点を示す赤い点は、22日以降急速に拡大。25日には慶尚道一帯が赤く染まり、火災の深刻さを物語っています。専門家の中には、「このペースで火災が広がれば、生態系への影響も甚大になるだろう」と警鐘を鳴らす声も上がっています。
韓国の静止軌道気象衛星「千里眼2A号」による観測
韓国国内では、韓国航空宇宙研究院(KARI)と気象庁が共同運用する静止軌道気象衛星「千里眼2A号」が、上空から山火事を継続的に観測しています。気象庁が公開している映像では、山火事による煙の広がりを明確に確認することができます。 3月22日時点では特異な動きは見られませんでしたが、23日からは慶尚道方面に煙の帯が確認され、FIRMSで最も被害が深刻だった26日には、千里眼の画像にも大規模な煙の広がりが鮮明に捉えられました。 しかし、26日夜から27日にかけては曇天の影響で煙の視認が一部難しくなり、正確な被害状況の把握に課題を残しました。
国家気象衛星センターによると、「千里眼2A号」は16の観測チャンネルを備え、雲、オゾン、積雪、地表・海水温など、計52種の気象データを産出しています。その中には「山火事検出」も含まれており、今回の山火事においても重要な役割を果たしています。 気象予報士の佐藤氏(仮名)は、「千里眼2A号のデータは、火災の早期発見と消火活動の効率化に大きく貢献している」と語っています。
最新技術を駆使した観測と今後の課題
NASAの衛星写真や韓国の「千里眼2A号」による観測データは、山火事の現状把握に不可欠な情報を提供しています。しかし、天候による視界不良など、依然として課題も残されています。 今後、さらなる技術革新によって、より正確で迅速な情報収集が可能になることが期待されます。