李在明大統領、読売単独インタビューで日韓合意「覆さない」と明言

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は読売新聞の単独インタビューに応じ、日韓間の長年の懸案である慰安婦問題や元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟について、過去の政権が日本と締結した合意を「覆すことは望ましくない」と強調した。李大統領は日本を「とても重要な存在」と位置づけ、経済・安全保障面での関係強化に意欲を示した。李大統領は来る23日、就任後初の訪日を控える。

ソウルで行われた読売新聞の単独インタビューに応じる李在明韓国大統領ソウルで行われた読売新聞の単独インタビューに応じる李在明韓国大統領

読売新聞への初の対面インタビューと日韓関係の重要性

李大統領はソウルの大統領府執務室で約1時間半にわたり、読売新聞グループ本社の老川祥一代表取締役会長・主筆の質問に答えた。これは、昨年6月の大統領就任以降、李大統領が韓国メディアを含むあらゆる報道機関の対面インタビューに応じる初めての機会となった。日本との関係について、李大統領は「日本はとても重要な存在だ」と強調し、「(日韓)双方にとって利益となる道を積極的に見出し、協力できる領域を広げていくべきだ」と語った。この発言は、日韓間のパートナーシップを深化させることへの強い意欲を示している。

歴史問題への現実的対応と過去の合意の継承

日韓間の長年の対立要因となってきた慰安婦や元徴用工などの歴史問題に関して、李大統領は「できる限り現実を直視し、相互理解に努め、対立を避ける形で解決していくことが重要だ」と訴えた。特に、慰安婦問題では2015年に安倍政権と当時の韓国の朴槿恵(パク・クネ)政権との間で「最終的かつ不可逆的な解決」が確認され、元徴用工問題では尹錫悦(ユン・ソンニョル)前政権が2023年に解決策を提示している。李大統領が所属する左派政党「共に民主党」は、これらの解決策にこれまで強く反対してきた経緯があるものの、李大統領は今回のインタビューで、「韓国国民にとっては受け入れ難い部分が多い前政権による合意ではあるが、国家間の約束として、これを覆すことは望ましくない」と述べ、既存の合意を維持する意向を明確に表明した。

国家の責任と国民感情への配慮

李大統領は、既存の合意維持の理由として、「政策の一貫性と国の対外信頼を考慮する責任」と「国民、被害者、そして遺族の方々の立場を真剣に考慮する責任」という二つの責任を同時に負うと説明した。その上で、日韓両国が長期的な視点に立ち、「より人間的な観点」から議論を進めることを提案し、韓国国民の感情への十分な配慮を日本側に求めた。

李在明大統領の今回の発言は、日韓間の歴史問題に対する現実的な姿勢と、将来に向けた協力関係構築への強い意志を示すものとして注目される。過去の合意を尊重しつつ、国民感情への配慮も求める李政権の姿勢が、今後の日韓関係の進展にどう影響するか注目される。

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